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「お待ち下さいね」  電子音のメロディに切り替わった。あっち、メンバーがいるのかな。確認してるんだろう。  1分も立たないうちに、メロディが途切れた。 「斯波です」 「ふぇっ!?」  斯波です!?  うわ、何だかよく響くいい声だ……これが、斯波正人の声なのか。凛としてて、強そうで、でも柔らかさと暖かさも感じる。  好きな声だな。耳馴染みがいい。びっくりしたけど、妙に安心感がある。これが、人を惹きつけるリーダーってやつなのか。 「驚かせたかな?」 「あ、その……まさか斯波さん御本人とお話出来るとは」 「はは。僕は実在の人物だからね?」  へぇ、僕、って言うのか。意外だし、気さくだ。  「で、こちらの都合を気にかけてくれたんだね」 「はい……その、斯波さんはお忙しいでしょうし」 「いいや、バンドが止まってるからね。ギタリストが決まるまでは開店休業だ」  そっか、そうだよな。何にしたって、ギタリストを見付けるのが最優先だ。 「だから、こちらのことは気にせずに、志見くんの都合のいい時を教えてくれたら合わせるよ。明後日はどうだろう」  ん? 「明日でもいい」
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