ピーターの後悔

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ピーターの後悔

 「少し、考えさせて…」  「え…?」  ピーターはその言葉に絶望した。彼女から出たその言葉は、ピーターを巨大な不安と恐怖と疑惑の渦に突き落とした。肝心の指輪だけは落とさなかったものの、ピーターの左腕に抱えていたバラの花束はバサッという音を立てて地面に落ちた。  「ど、どうして…?なぜ考える時間が必要なんだ…?」 おどおどしながらピーターは質問する。  「二人でやっていける自信がなくて…」  「やっていけるさ!現に僕だって君だってちゃんと自立して生活出来てる         じゃないか!」  「そうだけど…少し考える時間が欲しいの…」  「何を考える時間だよ?」  「そ、そんなに怒らないでよ…別にいやといってるわけじゃ…」 恋人のソフィアには、動揺して彼女に詰め寄るピーターがいくらか怒っているように見えたらしい、彼女は少しおびえていて、彼と目を合わせようとしない。  「怒ってないよっ…!ただ…ただびっくりして…」 というのも、このピーターがプロポーズをしようと思い立った一番の理由は、ここ一か月前あたりから、彼女がよく寂しい、離れたくないと口にするようになったからである。もちろん自分自身彼女と結婚したいという気持ちも大いにあったが、彼女はもともとちょっとした精神障害を持っており、それも結婚を急ぐ理由となった。
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