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しかし、その気持ちはあらかた楽しんだ後、スッカリなくなりました。いまさら彼は大変な事に気付いたのです。帰り道が。どう帰れば良いのか、全く分かりません。
「どどどどうしよう!?ボクもしかして迷子になっちゃった!?」
風はブランキーの不安などお構いなし。止まってくれ、帰してくれと頼んでもちっとも聞いてくれません。自由だと思っていた空の旅。ですが、ブランキーは自由などではありませんでした。自由なのは風。気の向くまま吹いては、ロージーから更に遠くへ遠くへと彼を運んでいきます。
家を飛び出した時はあんなに頭に来ていたのに、今はロージーが恋しくて堪りません。怖くて寂しくて悲しくて。ついにブランキーは泣き出しました。
それから数時間。もう、幾つの国を超えたのか。自分がどこにいるのか見当もつかないくらい遠くに来てしまったようです。自分の涙で体が冷え切った頃、ブランキーが顔をあげると夜空に白い雪がちらついていました。
本当なら、今頃ロージーとベッドにいて、ギュッと小さな体を抱きしめて温めているはずでした。もうロージーに会えないかもしれない。自分の役目を忘れてワガママを言ったバチがあたったのだと、ブランキーの心は後悔でいっぱい。また涙が溢れます。
今夜はクリスマス。良い子ではないけれど、もし自分もサンタさんに何かを願えるなら。奇跡が起こるなら、今度は違う事をお願いするのに。
そう思った時、どこからか鈴の音が・・・
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