いじっぱりロージーとわがままブランキー

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その夜、ロージーは眠らずに待っていました。寝床をこっそり抜け出して、リビングのツリーの前で。どうしても今夜、サンタさんに渡したいものがあったからです。 やがて現れたサンタは、ロージーに頼まれていたプレゼントを差し出します。ですが、ロージーは首を横に振って受け取ろうとはしません。中にはずっと前から欲しかった、ぬいぐるみやおもちゃが入っているはずなのに。 大きなサンタを見上げるロージーの目には、涙がいっぱい。まばたきする度にボロボロボロボロ溢れます。震える小さな手には、握りしめられてぎゅっとなった一枚のメモ。サンタが受け取ると、そこにはクレヨンで大切な友達の名前が書かれていました。 にっこり笑顔のサンタがおもむろに胸を軽くポンポン。するとなんと、サンタの胸元からブランキーが元気よく飛び出してきたのです。 ブランキーが夜空でサンタと遭遇したのは、偶然ではありません。ロージーが願ったからです。 ふわりとロージーを包んだブランキーは、サンタの胸元で温められてほかほか。 「ありがとうロージー。もう離れないよ。ごめんね。ボク達はずっとずっと一緒だよ」柔らかな生地の手で、ロージーの涙を優しく拭ってやりました。 クリスマスには、素敵な魔法(奇跡)が起こるといいます。これもきっと、そのお話の一つ。 その夜、ブランキーとロージーは同じ夢の中。魔法の絨毯になったブランキーと、その背中に乗るロージー。どこまでも広がる世界を2人一緒に旅をしました。いっぱい飛んで、たくさん笑って、うんと遊んで。2人とも寝顔まで笑顔になるくらい、それはとてもとても楽しい夢でした。
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