願いが叶う喫茶店

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 マスターが陽子に申し訳ないと言いながら深々と頭を下げて謝っていると、陽子は気にしないでくださいと言った。 「二人の恋愛を記事にしようと思っている。勿論、本名などは伏せて、脚色はさせてもらうけど」 「俺と陽子の恋愛を記事にするなんて、むしろ嬉しいです!」 「原稿を書き終わったら二人に見せて納得がいかなければ、記事にはしません。チケットは記事にならなくてもプレゼントします。どうかな?」  おじさんが必死で縋る思いで言葉を出しているのがわかった。 「本名がわかってしまうと学校で困るけど、そうじゃないなら。ぜひ原稿は読ませてください」 「私は自分の願いが叶ったので、もう十分です。記事にしてください。あっ、でも原稿は私も読んで見たいかな」 「良かった。ありがとう。すぐに原稿を書いて渡すよ。どこで原稿を渡そうか。一週間ぐらいかかるけど」 「この喫茶店に一週間後でどうかな、陽子」 「いいと思う。願いを叶える喫茶店に集合で!」
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