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それは現在人気絶頂中のレジャーランドのチケットだった。
「このチケットは君達二人に渡すよ」
「えっ、もらっていいのですか?」
俺はチケットを受け取りながら、首を傾げる。
「このチケットは恋人と行こうと思って誘ったんだけど、断られてしまってね。だから僕には必要なくなったんだ」
「でも、どうして私達にくれるのですか?」
陽子は俺と同じように話が見えないという感じで戸惑っていた。
「チケットを渡す代わりといってはなんだけど、君達のことを記事にさせてくれないかな」
男が胸元から名刺を取り出して、自己紹介をした。
「僕は月刊誌で恋愛コラムを担当している記者なんだけど、ネタに困っていて、もうこのコラムは終了にしようかと思っていたんだ」
「恋愛コラムですか……あっ!」
陽子が声を上げて、何かに気づいたようで、俺に視線を送る。
俺はまだ話の流れがつかめなくて、腕を組んで考えていたら、鈍いと陽子にまた言われた。
「仕事に行き詰まっていて、参考になるような恋愛の話がないだろうかとマスターに相談したら、恋愛のことで悩んでいる高校生がいると教えてくれたんだ」
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