22人が本棚に入れています
本棚に追加
一週間後の金曜日の夕方は部活も塾もないので、その時にまた来ますとマスターに伝えた。
マスターは朗らかに頷いて、またのお越しをお待ちしておりますと言った。
一週間後、約束通り俺は喫茶店に行った。
この前と違って、テーブル席には中年のおじさんがいた。
そして、カウンターの中には、同じクラスの立石陽子がいて驚いた。
「あれ、なんでこんな所に陽子がいるの?」
「私がどこにいようと勝手じゃない」
マスターが仲介するように話した。
「立石君にはここでバイトしてもらっております」
「うちの学校、バイトは禁止されていたような」
マスターと陽子が、自分の口の前に人差し指を立てる。
「まぁ、いいや。マスター、エスプレッソ」
「かしこまりました」
エスプレッソが出来上がると、マスターが今回はすぐにカップをテーブルに置いた。
一口啜ると、相変わらず苦さが口の中に広がった。
「それで、現代文の先生とはうまくいきそうですか?」
最初のコメントを投稿しよう!