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陽子がいる時に恋愛の話をするのは恥ずかしいと思って、マスターに強く目配せをした。
でも返ってきたのは大人らしい柔軟な返答だった。
「失礼ながら、女性の意見を参考にするのも大事かと思います」
「ふーん、マスターがそう言うなら仕方ないかな」
陽子はマスターの言葉に救われたような感じを見せて、恋愛話が好きなのか興味津々だった。
エスプレッソを半分飲み終わった頃、ぽつりぽつりと言葉を出した。
「現代文の教師について、こっそり調べていたけど、好きな人がいるとはっきりわかったんだ」
マスターも陽子も驚いていた。
「そうですか、それはそれは。どうして好きな人がいるとわかったのですか?」
水上が自嘲して笑った。
「俺、馬鹿だから、先生って好きな人いますかって直接聞いてしまって。そしたら、最初は躊躇っていたけど、告白したい人がいると教えてくれて」
水上はテーブルに突っ伏して自身の過ちを告白するかのようだった。
「来週の木曜日、授業が終わったら、その人に告白するんだってさ。木曜日はその人と知り合ってちょうど一年になるらしい」
「先生に好きなことはおっしゃったのですか?」
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