願いが叶う喫茶店

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 水上はかぶりを振った。 「とても言えなかったです。だって、先生、話している時にとても嬉しそうだった。本当にその人のことが好きなんだって思って」  陽子が目線を落として重々しく口を開いた。 「とても辛い恋だね。でも、その告白がうまくいかないかもしれないよね」 「先生の姿を見ていたら、うまくいって欲しくないのに、うまくいって欲しいと願ってしまう自分もいてわからなくなった」 「複雑な恋愛模様ですね。ですが、水上様、その先生の恋がうまくいってもいかなくても、また金曜日、時間がありましたら、ここに来て頂きたいと思います。もう少しだけお話を聞かせて頂けませんか?」  水上はそこで疑問に思った、もし先生の告白がうまくいけばここに来る目的はないのではないだろうかと。  腑に落ちない感じはあったけど、マスターがいつものように朗らかな笑顔を向けてきたので、わかりましたと頷いて店を出た。  一週間後、水上は喫茶店に行った。  前回と同じように、テーブル席には中年のおじさん、カウンターの中にはマスターと陽子がいた。  落胆した気持ちをごまかすように、カウンターに座ると、感情を込めないように早口で話した。 「先生、告白が成功したよ。俺は振られたことになるけど、先生が幸せなら良かったよ」
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