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学校で聞いた話通りに道を進んで行った。
神社を前にして左の道を進んだ所に、その喫茶店はあった。
水上は静かに忍び込むように扉を開けると、カランコロンと昔ながらの鈴が鳴って慌てた。
「いらっしゃいませ」
カウンターの中にいる店長らしき人物が低く通る声を出した。
店内を見渡すとカウンター席が七席と四人掛けのテーブル席が二つあった。
どこに座ったらいいだろうかときょろきょろしていると、こちらにどうぞとカウンター席の中央を勧められた。
夕方のせいか客は自分以外にはいなかった。
椅子に触ると、整った髭をしている朗らかで物腰の低い喫茶店の店長が微笑んでいた。
噂では喫茶店だけどバーのような趣きがあると聞いていた。
確かに店内にかかっているジャズや、カウンター周りの調度品もバーに近いのではないだろうかと思った。
「初めまして、マスター」
「ご丁寧にどうも。初めまして」
噂通り、高校生がマスターと呼んでも怒られなかったと思った。
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