サンタクロースはきみを見ていた

9/9
前へ
/9ページ
次へ
 「うん。今年のクリスマスは、本当に欲しいものがもらえたよ」  いつのまにか空から舞い散る雪は止んでいた。太陽の光が森中を照らし、地面に木の葉に積もった雪がその光を受けてきらきらしている。ホワイトクリスマスだ、と誰かが言った。  ボクは大切にブランケットを胸に抱えた。トトがよじ登ってプレゼントを取りに行く様子を見つめた。トトに続くみんなの嬉しそうな顔を見て、ボクもその気持ちが移ったみたいだ。にやにやしてしまうのはもう仕方ない。  「ありがとう……!」  大主さま。お願いです。ボクの声が、気持ちがあの子に届きますように。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加