サンタクロースはきみを見ていた

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 大きな大きなもみの木がある。  その木のことを、大主さまってボク達は呼んでいる。なんと大昔ボク達が住むこの森が火事になった時、この大主さまだけは生き残ったから、らしい。そうおばあちゃんからお母さんへ。お母さんからボクへ。そうやって語り継がれてきた。  「クリスマスの朝!大主さまのところに集合だよ!」  そう言ったのは、ボクの友だちのタヌキのトトだ。トトの家族はもともと人間の世界で、人間に化けて生きてきたんだって。トトのひいひいおじいさんが、人間の女のひとに恋をしたことが始まりだって聞いてる。その話を聞いたとき、みーんなトト達家族を信じられない!みたいな目で見てたけど、ボクは素敵だなあって思った。だってそうでしょ。そうしてまで一緒にいたいってひとに出会えたってことだよ。それがどれだけすごいことか、ボクは知ってる。知ってるんだ。  「ハル、おまえ寝坊するなよ!」    「クリスマスに寝坊なんてしないよ!トトこそ寝坊しちゃダメだよ!」
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