サンタクロースはきみを見ていた

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 クリスマスの朝、この大主さまのところにトトと集まるのは理由がある。この大主さまという木には、クリスマスの朝に来るとまるで実がなるように、森に住むボクら動物たちへのクリスマスプレゼントが枝になっているのだ。ボクやトトだけじゃない。このクリスマスという日を、みんな楽しみにしている。それはみーんな、このプレゼントをもらうことで幸せになれるからだ。  それはかわいいぬいぐるみだったり、大好きなおやつだったり。それぞれの欲しいものがなる。トトは、今年あったかいマフラーが欲しいって言ってたから、きっとそれが大主さまになるんだろう。……でも、きっとボクの欲しいものは、ならない。ボクの欲しいものは、物じゃないんだもの。  「どうせ欲しいものがもらえないなら、ボク、良い子にうちで寝てなくてもいいよね……」  すっかりお日様はお布団に入り、お月さまがやってきた。お月さまを歓迎するように、小さな星々がきらきらと揺れている。こんな月夜。ゆっくりと大主さまにプレゼントがなっていくんだ。
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