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その様子は見ていちゃいけないって決まりがあるけど、ボクはプレゼントはいらない。どうせもらえないから。だから、ボクは大主さまの木の根っこのところでまあるくなり、じっと空を見ていた。
それは唐突だった。
気がついたら眠りこけていたボクは目を覚ます。ハラハラと舞い落ちる白いものは雪だった。どおりで冷えるわけだな、なんて思っていたら、いつの間にか目の前に小さな女の子が立っていた。人の子だった。
「っ!」
「しぃー」
驚いて身を起こしたボクが声をあげるより早く、女の子は口元にひとつ指を立てた。赤と白のもこもこした服を着込んだ女の子は、つたない足取りでボクのところまで近づいてきた。
「だいじょーぶだよー。あたし、怪しいものじゃないんですー」
にこにこ笑うその鼻頭は真っ赤だ。言葉とともに宙に舞う白い息が雪に溶けて消えていく。
ボクは警戒しつつも、ゆっくり腰を下ろした。どう考えても丸腰の女の子にどうこうできるはずもないし……。
「ハルくんでしょ?」
「!……う、うん」
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