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走った。ただ、ひたすら走った。
やがて、夜になった。
俺を待っていたのは……
寒さと切なさと空腹。
今自分がどこにいるのかも分からない。たびたび見かける人は、俺に見向きもしない。
そろそろ誰か、俺を見つけてくれてもいいのではないか。もしかしたら、このまま誰も見つけてくれないのではないかと不安になった。自分の存在を誰かに認識されているかさえも怪しくなった。
帰ろう。早く、家に帰ろう。
俺は、勇気を出して近くを歩いている人に声をかけた。
「あの、すみません。……家に……家に、帰りたいです!」
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