ラン・アンド・ラン

5/8
前へ
/8ページ
次へ
 走った。ただ、ひたすら走った。  やがて、夜になった。  俺を待っていたのは……  寒さと切なさと空腹。  今自分がどこにいるのかも分からない。たびたび見かける人は、俺に見向きもしない。  そろそろ誰か、俺を見つけてくれてもいいのではないか。もしかしたら、このまま誰も見つけてくれないのではないかと不安になった。自分の存在を誰かに認識されているかさえも怪しくなった。  帰ろう。早く、家に帰ろう。  俺は、勇気を出して近くを歩いている人に声をかけた。 「あの、すみません。……家に……家に、帰りたいです!」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加