福の神

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福の神

「なあ、お前どうやったら稼げると思う?」 俺は社会人になり、普通の会社でサラリーマンをしている。 「働くしかねぇよ。」 こいつは有名な紹介者だ。こいつにいえばなんでも叶う。俺はつくづく運がいい。こんなやつが俺の友達だったのだ。 「なあ、誰か紹介してくれよ。お願い、昔のよしみで。」 「はあ、仕方ねえな。ここに行って神吉の紹介で来ましたと言え。」 「わかった。」 翌日、俺は神吉に紹介された場所に向かった。 「えっと、ここでいいんだよな?」 そこにはボロボロになった家があった。 「すいません。神吉の紹介で来ました。」 「なんだ?おお、意外といいやつだな。」 「あの、お金が欲しいんですけど、楽に稼げる方法ってありますかね?」 「あるぞ。神吉の紹介で来たんだな。」 「はい、神吉の紹介で来ました。」 「じゃあまず俺がいうことを全てキチンとやれ。まずこの金全て競馬に費やせ。稼いだらまたこい。稼いだ分だけお前ので今貸したやつは全て俺に返せ。あと対価は稼いでからだな。」 俺は馬券を買った。するとそこが大当たり。俺は凄く稼げた。そして翌日俺はボロボロの家に向かった。」 「すみません。稼いで来ました。」 「ほう、稼いできたか。」 その日から競馬や株などを休日になっては費やし、大儲けしていった。そして俺は豪遊しまくった。まじで楽しい。これができない人は可哀想だと思えるほど。そんなこんなで一年後、神吉があの家の前にいた。 「こんにちは。何で神吉が?」 「もちろんあなたの死を見届けるためですよ。」 「またまた、そんな冗談はやめてくださいよ。」 「えっ?聞いてないんですか?対価の事。」 「ああ、話してないよ。まあ、対価を貰いますか。俺は運を一年後の命と交換するんですよ。そしてその費用は稼いだ金。ちょうど今日の一分後でしたよ。あなたの命は。」 「神吉、何でこんなとこ紹介したんだ!」 「あの時の僕の気持ち、分かります?散々パシリとして使って、鬱憤ばらしにサンドバッグ。意外と幸福から落ちた地獄ってきついですよね。それが僕の恨みです。僕って優しいですよね。だって大儲けさせてあげて天国を見させてあげましたもん。」 「...」 神吉が言い終わったときにはもう俺は逝っていた。
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