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アトリが西施と海で過ごしているころ、ヤンバルの教会にはホークの姿があった。 「お待ちなさい、ホーク」 「うるさい、どけ!」 ストークの執務室に乱入してきたホークは、ずかずかと堂々と入り込んでくる。そしてストークには目もくれず、そのまま隣に立つアーロンの胸倉をぐっとつかみ上げた。 「あ、あなたは・・・」 「ホーク!」 シギが制止するが、もはやホークの耳に入っていない。 「いい。下がっていろ。何か要件があってきたのだろう。聞いてやる」 「しかし」 「大丈夫だから。ただの海賊だ、心配いらない」 いいから、いいから、とストークの宥めに渋々応じてシギと従者たちは下がっていく。知り合いの商売人が抗議に来たくらいの様子で、海賊の乱入を受け止めているストークの肝の据わり具合に、幾人かの従者などは、やはりストークさまは聖職者よりも海賊が向いているのでは、と噂するほどだった。 ぱたん、と扉が閉まったところで、ストークは判子を押しながらホークに話しかける。 「なんだ、どうした?話してみたまえ、どうせアトリがらみだろ?」 「アトリは・・・・」 その名前にホークは反応する。 ぎりぎりとアーロンをにらみつけたまま、腹の底から引きずるような声が出る。 「・・・・・・かわいい!」 後にも先にも、時間が止まるというのはああいうことを言うんだ、とストークは後にシギに話す。それくらい、その場はまるで空白の瞬間だった。興奮しているホークを除いて、ストークとアーロンは今何が起こっていて、これから何が起ころうとしているのか全然わからなかった。 今なにかホークはしゃべったか? それぐらい理解できなかった。 「なんだあの可愛らしさは!」 「・・・は?」 かろうじてアーロンが声を発することができた。ストークは怪訝そうな表情を浮かべたまま、固まっている。口だけが、は、の口をして開いていた。 「声もかわいいし、おでこも小さくてかわいい!気性も素直で誰にでも笑顔で寄っていくから、海賊もヤンバルの住民もすぐ骨抜きだ!気難しいので有名な家具屋のじじいでさえ、アトリには食べ物と檳榔を交換してやる始末だ!」 「あの頑固じじいが?!」 ストークはやっとはっとして反応した。 「それはすごいことだ・・・ッ」 「どういう教育をしたらあんなにかわいらしく育つんだ、ああ?教え込んだのか貴様らが!」 ホークの脳裏には昨日のアトリの、すき、という殺人的なかわいらしさの光景が浮かんだ。わざわざそのことを教えてやるつもりはなかったが、あまりのかわいらしさにうっかり格好つけてなんでもない風に接してしまったことを後悔している。 アトリが苦しいくらい、抱きしめてしまいたかった。 それぐらい、わけがわからないくらい可愛いかった。 「落ち着け!あなたが何に怒っているのか全然わからん!」 「なぜあんなに素直に育てたんだ!アトリは馬鹿じゃない!何も教えずに都合のいいことだけを信じさせて、どうしてこんなことをするんだ!アトリの島は皆そうなのかと思っていたが、どうも貴様の様子を見るに、アトリだけがなにも教えてもらっていないようだ!貴様たちの扱いやすいように!」 「なんだと・・・っ!」 「アトリは貴様に頬を打たれてもなお、お前だけは自分に嘘をついたりしないと!ずっと信じて!」 その言葉にアーロンははっと表情を変える。 「アトリが・・・?」 その時だった。机の上を蹴って、二人の間にストークがとん、と舞い降りる。 「ホーク!このストークはアーロンの事情をきいたぞ!一方的に彼を責めるな!」 「うるさい、どけ!」 「どかない!」 「ストーク・・・・」 アーロンは自分をかばう少年に動揺を隠せなかった。アトリと同じ小さな体で、ストークは大きな責任を背負うことにまるで臆さない。まるでそれが当然だというように。 「安心しろ、アーロンを殴りつぶしに来たわけじゃない。4人で話をしよう」 「話?アトリの今後をか?」 「ああ、そうだ」 ホークの言葉にストークはすこしだけほっとした。 アトリがかわいい、と言いながら暴れるのかと思ったら、なんだ一応まともな話をしに来たんだな、と安心した。昔馴染みがアトリのかわいさにどうにかなってしまったのかと、少し本気で心配だった。 「その必要があるとは、ぼくも思っていたところだ」 「だめだ、そんなことは!」 胸倉をつかむホークの腕を、アーロンは今日一番の抵抗を見せて振り払った。 「檳榔売りの身の振り方は、俺たちが決める!アトリに聞かせていい話じゃない!」 「・・・どうやらお前の島は、檳榔売りを奴隷として扱っているのは間違いなさそうだな」 「おちつけ、アーロン。ホークは君たちの事情を知らない」 今度はストークはホークに背を向けてなだめる。 その両手は教会の天使のように広げられていた。 アーロンはなぜだかその姿に、自分がいっそう情けなくなった。 自分はこんな小さな少年に、今運命を左右されている。どうにもできない叫びを、ヤンバルの少年に受け止めさせている。 どうしてこんなことになってしまったのだろうか。 どこで道を違えてしまったのだろうか。 「事情を知らないとか、そういうことではない。アトリにそんな話を聞かせられない!アトリは俺のことをそんな風に言っていたのなら、なおさらだ!」 「・・・貴様、やはりか」 「どういうことだ、ホーク。アーロンも!ぼくにわかるように説明したまえ」 ホークは腕組みをしてストークを見下ろす。 「俺が言って聞かせるから、それだけはやめてくれ!4人で話すなど、そんなことをすれば、アトリはッ」 「やはりな。・・・・・・・・アトリは自分が奴隷であることを、知らないんだな」 「・・・そんな!」 ストークは信じられない思いでアーロンを見た。聖職者のまっすぐな瞳に耐えかねて、アーロンは後ろめたさに顔をそむける。 「奴隷なんて言葉、聞かせたこともない・・・ッ。かわいそうだ!教えないでくれ、頼む!アトリは何も悪くないんだ。悲しむ必要のないことで、傷つけたくない!あなただって、アトリがかわいいんだろう?」 「・・・・・アーロン、己が何者かもしらないままで、アトリが話しあうことなどできない」 憐憫のようなものが、ストークの声にはにじんでいた。 「・・・・だから先に貴様と話す必要があると思ったのだ。案の定、そんなことだろうと思った。だからこその、あの仕打ちだったのだな」 「ホーク、もっと事情があるんだ」 檳榔売りの運命を今聞かせたら、それこそ本当に暴れだしてアーロンを殺しかねないな、とストークは思った。まったく面倒だったが、はるばるやってきたこの青年と、ヤンバルの海賊との間に勃発したトラブルを放っておくこともできない。 「黙ってろ、生臭坊主」 「ああ?」 気持ちとしてはホークの言い分の方に傾いていたが、興奮したホークから発せられた言葉に何かがストークの中でぶちっと切れた。 「このストークさまに向かってなんだその言い草は!こっちが譲歩してやってれば偉そうに、海賊風情が!無礼にもほどがあるぞ!それに生臭坊主じゃない、新しい聖職者なんだぼくは!」 海賊風情、の言葉に今度はホークが怒り始める。 「なんだと!裏金に酒にたばこに、生臭食いに、だいたいの禁は犯しているくせになにを!」 「お前も一緒にやったくせになんだ、コラァ!」 「ああ?!」 アーロンの胸倉をつかみ上げた勢いよりもさらに激しく二人が掴みかかる。一瞬にして置いていかれたアーロンは、どちらを止める方がいいのかわからなかった。 「お、おい」 「お前は黙ってろ!」 「君は黙っていたまえ!」 4人で話し合おうと言っていたが、こんなに血の気の多い二人でまともに話し合えるのか。そんな疑問を抱きながら二人の喧嘩を見つめていると、アーロンの後ろの扉が控えめに開いた。中の様子をそっとうかがうように顔をのぞかせたのは、シギだった。 「騒がしいと思ったら、おやおや」 二人の取っ組み合いを見ても眉一つ動かさず、シギはバケツを手に中に入ってきた。 「昔から二人の悪い癖なんです。教会の魔法学校に通っていたころからこんな調子でね・・・二人して退学になって。少しも成長していないんですから」 そう言ってゆっくり二人に近づいていくシギ。 何をするつもりなのかアーロンが理解する前に、シギは勢いよくバケツの中身を二人めがけてぶちまけた。 「・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・」 水を掛けられておとなしくなった二人が呆然としている間に、シギは従者たちを呼んだ。 「お二人とも、頭を冷やしておいでなさい」 「シギ、いやだぞ」 「そうだ!」 ストークとホークが抗議するも、シギは取り合わなかった。 「連れて行きなさい」 さあ、もう腹をくくっていきましょうね、と複数の従者たちに引きずられるようにして、ホークとストークは反省部屋という名の監禁部屋にずるずると連れていかれてしまった。 「さ、アーロン」 「は、はい」 「お前もですよ」 「え?」 喧嘩両成敗という方針のシギは、誰の言い分にも一切耳を貸そうとしなかった。 結局よく反省したのかとさんざん叱られて、夜になって解放された。アトリとの話し合いを拒否するアーロンの説得は教会側でするからとぴしゃりと言われて、ホークはおとなしく帰ってくるしかできなかった。 「なんだ、アトリ。もう寝てるのか?」 今日はさんざんな一日だった、と疲れて帰ってきたホークはアトリの声を聴いて癒されたかった。 「ほーく」 しかし毛布にくるまっていたアトリは、また今日もホークの予想していない明後日の方向からいつだって風を運んでくるのだ。 「あ、アトリ」 「あのね、あのね、体がへんなの・・・・ッ」 「助けてっ、ホーク」 ぎゅう、っとアトリがホークのシャツを掴む。 はあ、はあ、と震えているアトリの肩を抱いて、服を掴む手を優しく上から包み込むと、アトリは体をびくびくと震わせた。 「あっ」 「大丈夫だ、大丈夫。アトリ、いったい、これは・・・・」 アトリの体を抱き上げて寝台の上にのせる。 白くてむにっとした太ももの間には、アトリからこぼれた蜜がしたたっていた。 「あっ、や、ああ」 「アトリ、見せてごらん。大丈夫だから」 「怒ったりしない?」 「しないさ。自然なことだ。ほら、足を開いて」 ぐすぐすと泣きながら、アトリは寝台でゆっくり膝を開いた。 ホークはごくりとつばを飲み込まずにはいられなかった。 アトリのかわいらしいそこは、ふるふると首をもたげてぴくぴくと上を向いていた。何度か果ててしまったのだろう、しずくが滴り落ちていた。 「あ、ああっ」 ホークに見られた途端に、アトリがちいさな両手でぎゅうっとそこを掴む。つかんだ調子に快感が走り、喘ぎ声が漏れる。 体を折りたたむようにしてそうする姿は、秘所を隠そうとする行為というよりは、快感を得るための行為に見えた。その証拠に、アトリはぎこちなく自分の手にかくかくと腰を動かしてこすりつけ、子犬のような声を漏らしていた。 ホークは我慢できずに思わず、アトリのそこを片手で包んだ。 小さな手にこすりつけるようにしているやり方では、刺激が少なくてつらいだろう。アトリの手ごとぐっと何度か揉み込んでやると、アトリの甘い悲鳴が上がる。 「はああっん」 「アトリ、こうした方が気持ちい」 「ん、あああっ、もっと、してえっ」 ちゅ、ちゅと耳もとにキスを落としながら、ホークは自分の余裕がなくなっていくのを感じた。声が欲情に上ずっていくのが、自分でもわかる。 「ああ、いいぞ」 「はああん、ああっ、ああ」 ぐちゅぐちゅと音を立てて手を筒のようにして掻いてやると、アトリの小さな両手は秘所を掴むのをあきらめて、ホークのシャツを握り締めた。 「あのね、っつんう、ホークとね、仲良くなりたかった、の」 「なんだ、アトリ。殺す気か?もうかわいいどころじゃないぞ」 手は休めずに、ホークはアトリの上着を脱がす。可愛らしい薄桃色の乳首がぴんっと張ってふるえていて、思わず舌を這わすとアトリがきゃう、とまた震える。 「ち、くびっ、あん、ああ、びりびりすう」 「アトリ、気持ちいいんだ。行ってごらん」 アトリのものを強弱をつけて掻くのに合わせて、蕾のような乳首にも刺激を与えると、震えながらアトリは声を上げた。 「きも、っちいいっ、あ、あ、ああ!だめ、でちゃう!」 「出していい。ホークと仲良くなりたかったんだろう?」 「うんっ、ああ、あ、せい、西施がね、あ、あ、んう、このシロップ飲んだら、はああ、う、はうっ、ああ、ほーく、やだ、アトリのおちんちんがっ、ああ、ほーくと仲良く、なれるってぇっ、あ、、ああああ、あああ、でちゃう、でちゃうーっ」 ひときわ大きくアトリの体が震え、ホークの腕を両足ではさみながらぎゅうっと緊張させた。ぱたぱた、とアトリの先端から朝露のように白濁が漏れる。 アトリは射精までかわいいのか、とホークは一人感動していた。 シロップ、と言ってアトリが喘ぎながら指さした先には、ホークには見覚えのある瓶が転がっていた。 「媚薬か、道理でな」 はあ、はあ、と肩で息をするアトリをホークは覗きこんだ。 「あの量を一人で飲んだのか」 「ほーく、うう、アトリのおちんちん、おかしいよう。さわって、おねがい」 アトリはホークの手を自分のかわいいものにこすりつけ始めた。 娼婦も裸足で逃げ出すほどのいやらしい腰つきに、ホークは自分の腰が重くなるのを感じずにはいられなかった。 これはきっと、一度や二度どころじゃないな。 「ああ、アトリ。アトリじゃ届かないところまで、さわってやろうな」 ホークの言葉に、意味が解っているのかわかっていないのか、アトリは天使のような笑みを浮かべた。 「ほーく、すき、すきいっ」 「俺もだよ、アトリ」 大きな鷹の体が、小さな鳥に覆いかぶさっていく。 熱い吐息が、唇の間で交わされて、湿った音が寝台を包んでいった。
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