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「「明けましておめでとうございます」」
大と向かい合って改めて新年の挨拶を交わした。神様と新年の挨拶を交わすなんて去年は思っても見なかったな。
「やっと、新年のおめでとうが言えたね」
「そうだな。居なくてさびしかっただろう」
「ホームセキュリティの日にいない屋敷神ってどうなのよ」
「なにそれ、今日はイチゴの日じゃないの?」
同じ発想。なんだかんだ言っても、私たちは良いコンビなのかな。
「大、あのヒゲモジャは誰だったの? どこに連れていかれたの?」
「ん、高天原」
「え、それって神様の国じゃなかった。じゃあ、あのヒゲモジャは」
「雪がやんだな」
窓の方を見ながら大が呟いた。
「カーテン閉めてあるのに分かるの」
「ああ、雪が降っている無音という音が聞こえなくなった」
「無音という音?」
「うん。雪が全ての音を包み込んで消してしまう、そんな無音の音だよ」
雪の降る無音の音か。何か綺麗な言葉だな。
大が言いたくないなら、無理に聞く必要もないだろう。いつか、話してくれる時が来たらでいいか。
今年も一年よろしくね、我が家のエッチな守り神様。
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