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換気のために窓を開けた瞬間に、身も凍えるような冷たい風が部屋に吹き込む。
「うおっ、寒い。無理」
そう言って、開けたばかりの窓をきっちりと閉める。ダメだ、この寒さは私の防御力など無視してくる。なんて攻撃力だ。私の防具であるヒートテック素材の肌着、もう一段階暖かいものにかえないとこの冬を越せる自信はない。売り切れる前に何としても手に入れたい。
「大~、私、年越しに足りないものとか買い出しに行ってくるね」
私は振り返って大に声を掛けたが、,年末のお笑い特番を大笑いしながら見ていて返事もしない。私がこんなに寒い思いをして、年末の大掃除をしているのにこの役たたずめ~。
「神様が笑い芸人の神様ネタの漫才で爆笑してんじゃない。大掃除の邪魔をするのなら、神棚は掃除しないからね」
「いやいやいやいや、年越しに神棚を掃除しないなんてそんな殺生な~」
作務衣姿の小学生くらいの美少年の神様、それが我が家の神棚に代々憑いている屋敷神の大の姿だ。私、森沙耶、十九歳。このただっ広い日本家屋で一人暮らし中だ。そしてこの広い我が家ですら少し引く位大きな神棚が設置してあり、そこに憑いている屋敷神の大はこの家の当主にだけ姿が見えるらしい。そして、久しぶりの女性当主である私にやたらと構ってくる。さらに……
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