歴史に残る偉業

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歴史に残る偉業

 ……さて、経緯は分かったかな?  この後、アルスラー・マーフェルは見事この難題をクリアして、国政ノ長であるトアーリン・ファルスから勲章を貰っている。  ちなみに、フェルエナード・ワクエンの元に指輪は戻って来たし、警護部ノ長でもあったアルスラーが、ついでにと言って、盗んだ犯人のことを投獄することになった。  そして……リュシャという女性は、本名がリュシャ・ノーファ。つまり、ノーファ国に王家があった頃の末裔に分類される人。おかげでアルスラーの名前は、瞬く間に国民や魔法使いの間に広がることになってしまった。  とにもかくにも、アルスラー・マーフェルという聖なる日の使者が成し遂げたことは、歴史に残る偉業となった。これは、ノーファ国の歴史書にも載っている。  後から教えてくれたが、先輩であるファルージュ・イレンも、無事国民になれたそうだよ。  あれから100年。  アルスラーは、国政ノ長ノ補佐官、という、いわゆる国の2番目に権力のある立場まで昇進した。  アルスラーほどの力があると、簡単に不老不死になることも出来るからね、同じく不老不死として活動する上司……いや、友人としては楽なもんだ。  ちなみにあれ以降、アルスラーが率先して聖なる日の使者をやってくれているよ。有難いものだ。  でも、どれほど研修で話しても、まだ国民のことを理解出来ない魔法使いは大勢いる。身に沁みついた「自分の中の常識」は簡単には覆らない。  でもそれは、国民同士でも有り得ることだとは思っているんだ。  障害、病気、考え方……自分と違うからと言って、敬遠したり、冷たく当たったりしていないだろうか。今一度考えてほしい。  偉そうなことを言ってしまったが、まぁ、あなた方と同じ立場になる国民と共存している、魔法使いからの戯言だとでも思ってもらえると幸いだ。  今日は聖なる日……もしかしたら、あなた方の所に、聖なる日の使者となったアルスラー・マーフェルが来るかもしれませんね。  あぁ、私は誰かって?  私は、ノーファ国・国政ノ長、トアーリン・ファリスです。いつしかノーファ国へ来てくださいね。スペルア一同、心よりお待ちしております。  それでは、これにて。メリークリスマス、良い1日を。  (完)
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