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様々な理由
書類を見始めてからは早かった。
基本的に欲しがっているのは、今現在欲しいけど財政的に買えない物や、この日まで我慢し続けた物……中には、子供からの可愛らしいお願いもあって、思わず頬が緩んだ。
(あー……やべぇ、飽きてきた。)
そんな思いが浮かんだのは、作業を始めてから2時間程経った頃。既に大半の書類は、完了済みの箱に入っていた。
(この最後の奴らが、ちょっと難関なんだよな……。)
命の期限を消してほしい、魔法使いとしての力を抹消してほしい、盗まれた指輪を返してほしい……魔法の力さえ借りればどうにでもなるが、聖なる日の使者に頼める物は、1つだけ。一気に2つ以上は許されない。
本当に、この内容でいいのだろうか。
(仕方ねぇなぁ……。)
勝手な自己判断でやるわけにはいかない。こればかりは、本人の元に行くしかなさそうだった。
(転生魔法……でいいのか?)
警護部で使っている急行魔法でもいいだろうが、あれは危険を伴う。転生魔法の方が確実だろう。
(えっと、この住所を、ここの欄に写して……送信、っと。)
一気に身体が浮き上がり、高速で移動し始める。魔法を使わない国民がどうやって生活しているのかを見る、またとない機会だ。
少し期待しつつ、目的地へと向かって行った。
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