殺し屋稼業

1/1
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ

殺し屋稼業

蹴り上げて宙に浮いたテーブルを踵落としで踏みつけると、 バチーン!! という炸裂音で天板が粉微塵になり、舞い上がった履歴書がスーッと滑ってストンと壁に当たった。 その日は膝丈のスカートだったので、 「パンツが丸見えだったな」 とか思うくらいの余裕は綽々(しゃくしゃく)だ。 佐藤家に伝わる殺しのスキルを使えば、相当な重量のあるテーブルも、重心の極点を瞬時に割り出して宙に送り、刹那で叩き付けるなど造作ない。 どっしりとしたテーブルが目の前で宙に舞い、眼前に叩き付けられたオールバックの男は完全にフリーズした。 それを横目に店を出て、地上へ向かう階段を登ると既に日は暮れていて、一階のインド料理屋さんから漂うカレーの匂いでお腹が空いていたのを思い出した。 「はぁ、バイト探さないと…」
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!