アリバイを覆せ!

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「どうでしたか?」 さほど興味はないし、今の電話内容から概ね展開は理解できたけど、美愛さんが結果を聞いてほしそうな顔をしているから、念のため確認する。 「ダメね、10分もかかっているわ。もっと速い人を呼んだらよかったわ」 県大会で優勝したことのある人ですし、美愛さんの彼氏さんよりも速いと思いますよ……、と喉元まで声が出かけていたけど、また睨まれても怖いので黙っておいた。 「こうなったら奥の手を使うしかないわね」 「奥の手?」 「井川先生、頼むわ!」 またもや美愛さんの指パッチンの音と共にカウンター席から人が歩いてくる。 「え、今度は何者なんですか?」 歩いてきている初老の男性は、お腹が出ていてあまり運動している雰囲気もないけど、この人にも駅まで走らせるのだろうかと不安な面持ちで待っていると、井川先生と呼ばれている男性の後ろからなにやら犬のロボットのようなものがついてきていることに気が付いた。
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