アリバイを覆せ!

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ほんの2分ほどすると、駅までの経路をプログラムされていたはずの犬型ロボットが戻ってくる。犬の顔の部分にあるディスプレイにはerrorの文字が表示されていた。 「ありゃりゃ?」 首を傾げる井川先生に美愛さんがせっつく。 「どうしたのよ? 早くしてよ」 「いやね、多分だめだとは思ってたのだけどね、やっぱり駄目だったのだよ」 「何がよ!」 「シュンソ君には自動安全装置が付いているのだよ。だから人が多いところでは走行できないというわけなのだよ」 「はぁ、もう全然使えないわね!」 「陸上競技場を貸し切って走らせたりしたらダメなのだな?」 「当たり前でしょ! 場所が違うんじゃアリバイを覆す証拠にならないじゃないのよ! バカなこと言わないでよね!」 そもそも条件の段階で人と、走力に特化したロボットとでは違うから比較してはいけない気がするが、美愛さんはそこについては気にしていないらしい。
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