第1章 1◇憧れの存在

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「NEVERやTAKUさんの出る番組もこんな感じにチェックしてるんですよ」  自分の手帳を開くと、日付ごとに書き込まれたTVやラジオ番組の予定をTAKUに見せる。  長い入院生活の中、NEVERやTAKUの出る番組チェックは桃華の少ないながらの楽しみのひとつだった。 「すげえな。CMまでチェックしてくれてるの?」 「もちろんです! TAKUさんが出ているCMの流れる番組を看護師さんや家の人に聞いて、それをチェックしてるんですよ」  桃華は満面の笑みで答えるが、少し間が空いたことから我に返って、とたんに恥ずかしくなる。 「あ、すみません……。ちょっと熱く語りすぎちゃいましたか?」 「ううん、そんなことない。むしろ、すげえ嬉しいよ。ありがとう」 「それなら、いいんですけど……」  優しい笑みを向けられて安堵するとともに、思わず桃華は頬を染めた。 「何だか憧れのTAKUさんに会えたこと自体、ここまで生きててよかったと思えるくらいに幸せなんですけど、こんなに人と話すのも久しぶりで、本当に楽しいです」
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