第8話 報告と帰還

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第8話 報告と帰還

クレメンスのいる空洞まで戻る。 ゴブリンたちの武器は全て収納魔法に。 クレメンスの元に戻るとちょうどゴブリンジェネラルが土壁にもたれかかっているが絶命した状態だった。 クレメンスが「終わったのか。」と一言だけ声をかけてくる。 クレメンスが 「彼の三叉槍は業物だぞ。」と声をかけてくる。 絶命したゴブリンジェネラルの傍らに転がっている三叉槍も貰っておく。 さて戻るか。 クレメンスとリトルガーディの村まで戻るが クレメンスの姿のままだと村の人達が怯えてしまう。 収納魔法から フードが深めの魔導師の服をクレメンスに手渡しそのまま被らせる。 口元まで影ができ ほとんど見えない状態まで隠せたので そのままリトルガーディの村へ向かう。 洞窟内は閑散としており魔物も出てこず洞窟の外まで出てきた。 そのままリトルガーディの村まで歩みを進める。 リトルガーディの村へ戻ると 村民や村長たちがわなわなとしている。 何かあったのかと思い近づいていくと 村長が私たちに近づいてくる。 「先程の冒険者様お帰りなさいませ。」 「その方は?」と少し疑問そうに尋ねてくる。 友人だ。と答える 「そうでしたか。」 「そんなことより先程冒険者パーティ様が血相を変えてこの町をぬけてファストの街へ向かっていったんですが」 「理由も聞けずに何かあったのではと思い私たち肝を冷やしておりまして。」 村民たちを安心させるために 大まかな話をしておいた。 また証拠にゴブリン王の遺物を見せる。 村長達はその話を聞いて 驚嘆し 「冒険者様はとてもお強い方だったのですね。」 「どうか我らを今後とも脅威からお救い下さい」 と跪き祈る村長達。 この村にいることは出来ないが 何かあった時は必ず助けに行くと声をかける。 村長達とそんなやり取りをしていると バンデッド率いるファストの冒険者部隊が血相を変えてリトルガーディの村へとやってきた。 私を見てバンデッドはかけ足で近づいて 「リョウお前大丈夫だったのか?」と声をかけて来たが直ぐに私の真横にいるクレメンスに目を丸くしていたがすぐに臨戦態勢をとる。 すぐバンデッドに 私の友人だ! 武器は下げてくれとクレメンスとバンデッドの間に入って話す。 バンデッドにクレメンスと出会った話やゴブリン王の話を簡単に説明する。 話を聞いた後に バンデッドはクレメンスに頭を下げる。 「大変申し訳なかった。」 クレメンスはバンデッドに対して 「私をみて不用心に近づくものなどおらぬ。」 「むしろ敵意を向けて当然であろう。」 「お主は戦うものとして至極当然のことをしたのだ謝ることなどないのだ。」 バンデッドは頭を掻いている。 こちらに目を向け 口を開く。 「とりあえず話を聞きたい。」 「ファストの街に戻ろう。」 バンデッド率いる冒険者部隊とファストの街へ戻る。 ファストの街へ戻ってきて クレメンスが怪しまれないようにバンデッドが贔屓にしている商人の馬車の荷車に乗せてもらい ファストの街へと入った。 冒険者ギルドの裏口からクレメンスが入りそのまま 従業員入り口でクレメンスが待つことに 私はバンデッドとギルド長室で話すことに ミカちゃんに少し心配そうな顔をされたが 大丈夫だよと手のひらをヒラヒラとさせて ギルド長室へ向かう。 ギルド長室にて 椅子に腰掛け こちらに目線を向けて 「さて経緯など全て話してもらおうか」 と私に向けて話してくる。 バンデッドにクレメンスと出会った時の話やその後ゴブリンキング討伐や魔王の復活の話をすべて包み隠さず話した。 難しい顔をしたバンデッドが 「これはとんでもねぇことになってんな。」 「おめぇの話が本当なんだろうが」 「ゴブリン王がこの国を略奪して未開の地を魔王領としようとしていたなんてな。」 「とりあえず直ぐ王国に報告をしなきゃならねぇんだが。」 少し言葉を濁して頭をポリポリと掻いている。 「言いにくいんだが」 「これは国王様に伝えなきゃ行けないからなぁ」 「うーむ」 バンデッドに 「ストレートに伝えてくれ。」と言うと バンデッドは 「いいのか?本当にいいんだな?」 と何度も念を推してくる。 「いいぞ。構わない。」と伝える。 「なら」といい。 「確実にリョウは王と謁見することになる。」 「今回のことは国を救った英雄だからな。」 「確実にリョウは有名になってしまう。」 「ただリョウはそれを望んでいないだろ?」 「ああ、そうだな。」と答える。 地位や名誉が欲しいわけじゃない。 この世界に転生してゆっくりやりたいことをやりたいだけなんだ。 クレメンスと出会って クレメンスと共に旅へ赴き クレメンスと共に過したいだけなのだ。 するとバンデッドは私の言葉を受け取ったのか 「俺から国王へ話はつけておく。」 「国の遣いがやってくるだろうからそれまではゆっくり過ごすといい。」 「それとリョウの友のクレメンスだが冒険者登録できるように準備しといておく。」 「また近いうちにここへ寄ってくれ。」 「俺は少しここを出るからあとはミカちゃんに任せる。」 「あとクエスト達成だから報奨金も出るだろうが少し待って欲しい。」 「今回は国も絡むからな予定されていた金額だけにはならないと思う。」 「少なくともリョウに不利益にはならないように王には伝えておく。」 「とりあえず依頼達成ご苦労だった!今後も頼むぞリョウ!」 「ああ、任せろ」とバンデッドと言葉を交わし ギルド長室を後にする。 ギルドカウンターに寄り ミカちゃんの所へ行く。 「リョウさんおかえりなさい。」 「とても危ないクエストになってしまったみたいで心配していました。」 「心配をかけて申し訳ない。」 「リョウさんだったら問題は無いと思ってましたけどね。」 「でも突然居なくなったりしないでくださいね?」と少し涙袋に涙を溜めている。 出会って短時間でも私の帰りを待って心配してくれることって素晴らしいことだな。 前世ではこんな気持ちを抱いたことは無い。 誰かに心配されたりこうやって涙を貯めて待ってくれていた人なんて。 俺が死んだ時は誰か泣いてくれたのかな? 俺が死んだことで誰かの心を寂しくさせたのかな? 天涯孤独な俺が死んだことで悲しんだものなんていないだろう。 しかしここでは待ってくれる人が少なくともいる。 ミカちゃんに 「これからはあまり無理をせずに危険な時は知らせるよ。」 「心配してくれてありがとうミカちゃん。」 「突然いなくなったりしないから泣かないで。」 ミカちゃんは袖口で涙を拭き 「今日はもう帰られるのですか?」 少し涙ぐんだ声で聞いてくる。 「ああ。」 「今日は友も待たせているしまた近々ギルドによらせてもらうね。」 「友というのはミノタウルスの御仁ですか?」 「堅苦しい言葉を使うんだねミカちゃん」 と少し笑ってしまった。 「古い言葉でしたか?」と少しはにかんだ。 そんな彼女にドキッとした。 「また今度私に紹介してくださいね。」 と言って見送ってくれた。 そのままファストの街裏手門へと歩みを進める。 クレメンスは裏手門の守衛と楽しく話している。 クレメンスはこちらに気がついたのか 鼻息を荒くしつつ こちらへと歩み寄ってくる。 「リョウよもう良いのか?」 「ああ。もう大丈夫だ。用は済んだよ。」 すると守衛が近づいてくる。 「クレメンス殿今度手合わせをお願いしたい。」 「カイリ殿いつでもやろうではないか!」 「そして我とともになって欲しい。」 カイリと呼ばれた守衛は 「クレメンス殿既に友ですぞ。」 「我らは言葉とあつき心を交わした仲ですぞ!」 クレメンスはまた鼻息を荒くし 「そうであったな!」 と熱き心を交わした2人は片腕をクロスして打ち付ける。 どちらも少年の心のようにキラキラした目で 心を交しあっているようだ。 ................................... ?? 長くないか? いつまでやってるんだこの人たち。 ................................... いつまでやってるんだ?? 咳払いを1つするとクレメンスが 「そろそろ行こうではないか!」 「ではな!カイリ殿」 カイリという守衛は 手のひらをヒラヒラとさせ見送ってくれる。 ファストの街を少し離れ クレメンスに飛行魔法と同時に付与魔法でクレメンスの身体ごと付与させる。 クレメンスが尋ねてくる 「何だこの魔法はそれに飛んでいるのか。」 と心を躍らせている。 「空を飛ぶ魔法みたいなものを身体に付与しているんだ。」 「さて私の家に行こうクレメンス。」 とクレメンスに伝えて 未開の地へと戻る。 国境の上を通過し、家へと戻る。 そして未開の地へと降り立つ。 クレメンスに 「ここが未開の地であり私の家だ。」 「ようこそ我が家へ」
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