第4話 ファストの街へ

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第4話 ファストの街へ

異世界に転生されてから1年近く経つ。 あれから畑は規模を大きくさせ 小麦や米と主食になるものの栽培。 野菜の栽培を行い 空間魔法でハウス栽培に近い形を取り 結界魔法で外敵から作物を守る形にして この1年で暮らしが豊かになりあっという間に日が過ぎていった。 生活を豊かにすることしかこの1年考えておらず ろくにこの異世界を旅していない。 この未開の地はヘイスタニア王国領だが国境で行き来するしかないようだが。 国境をそのままノコノコ尋ねて通して貰えるとは思えない。 飛行魔法で国境を超えずに通る方法を考えるしか無さそうだ。 ヘイスタニア王国はこの未開の地を異質なものとして扱っているようなのだ。 神様の本によると なので未開の地から人が どもーと軽い気持ちで行こうもんなら 魔人?みたいなものに間違えられて戦争みたいなことになっても嫌なので 今は正体を隠して 国境近くの「ファストの街」へで向かうことにする。 飛行魔法を用いて雲の上くらいから国境を見渡す。 ぐんぐん高度を上げていき私の家が米粒にみえる。 何も障害になるものがならず風がふきぬける。 空を飛んでいるからわかる。 国境には切れ目があり北側に山岳地帯になっているようだ。 山岳地帯側からぐるっと回って ファストの街に行くことにしよう。 また空を飛んでみてわかったが 国境を越えて3キロ程にファストの街があり ここからでは小さく見えるがヘイスタニア王国のような大きな街が見える。 1度地上に戻り 街へ行く準備をする。 この1年の間に防具や武器を作りその練習も重ねておいたのだ。 防具はスケイルカウの鱗を素材として作った防具。 スケイルカウの鱗は加工しやすく 強度はもちろんのこととても軽く力のない人でも装備が出来そうなものである。 【スケイル装備】 スケイルカウの鱗を加工し作られたもの。 スケイルカウの皮を使用しており 伸縮素材であり装備者にピッタリ装備することが出来る。 斬撃耐性がついており並大抵の剣では装備者にダメージを与えることが出来ない。 スケイル装備に魔力付与を施し強化する。 魔道具のように魔力付与を行い。 装備自体に特殊能力のようなものを付与させる。 【マジックスケイル装備】 スケイルカウの鱗を加工し作られたもの。 スケイルカウの皮を使用しており 伸縮素材であり装備者にピッタリ装備することが出来る。 斬撃耐性がついており並大抵の剣では装備者にダメージを与えることが出来ない。 全身が灰色の装備になっている。 【魔力付与】 状態異常無効、自動回復、移動速度強化、身体強化 【白染めのマント】 エンシェントウルフの毛皮を用い アラクネの糸を編み込んだマント。 足元まで隠すほどのマントで氷魔法付与が付与されている。 白い毛皮で作られており綺麗な白のマント。 【魔力付与】 魔法力強化 ステルス(マントに魔力を注ぐことで透明化する) マジックボックスに装備などを入れておく。 また飛行魔法を用いて 北の山岳地帯から迂回するようにグルっと回る。 またステルスを使い誰かに視認されないようにする。 ステルスで国境を超えてもいいのだが 魔力を持続で注がなければならないためまだ上手く制御出来ないので途中でステルスが切れることを避けるために念の為迂回することにしたのだ。 ファストの街近くに森があったのでそこに降り立ちステルスを解除させる。 直ぐに魔力感知を発動させる。 魔物の群れと何かが戦っているようだ。 近づいてみると冒険者のような4人パーティが狼の魔物と戦っているようだ。 しかし連携が取れていないためか思うように戦闘できていないみたいだ。 狼の魔物の群れは後衛の魔法使いの女の子を狙っているみたいなのだ。 2頭の狼は前衛のタンクと戦士の注意を引いて 4頭のおおかみは左方も右方に2頭ずつ別れて後衛の魔法使いと弓を持った男の子に襲いかかる。 反応できなかった後衛の2人は 狼に腕をかまれ 注意を後衛に向けた前衛の2人も隙をつかれて 狼の攻撃を受ける。 一瞬で壊滅してしまった。 それほどのこの狼は統率力が取れている魔物なのであろう。 鑑定を使う 【コマンドウルフ】 ウルフの上位種で群れで行動するウルフ。 戦い方はさながら王国剣士のように洗練された無駄のない動きを見せる。 また一瞬の隙を見逃さない。 鋭い爪と牙を用いて攻撃してくる。 また牙には麻痺毒が付与されており 噛まれた相手は麻痺の状態異常で動けなくなる。 噛まれた4人は筋肉が痙攣しているのか動けなくなっており 恐怖で顔が強ばっている。 魔法使いの女の子は下半身が濡れており 恐怖で漏らしてしまったようだ。 狼の食料になる前に一掃する。 風魔法の【ウインドカッター】を無詠唱で魔法使いの女の子に敵意を向けている狼を反応する前に弧をえがき、コマンドウルフの首を切り落とす。 それまでは冒険者のパーティに向けた敵意を一斉に私へと向ける。 前衛を襲っていたコマンドウルフは一斉に襲いかかり 後衛を襲っていた4頭のうち3頭が 左、真ん中、右と別れて襲いかかってくる。 まず前衛を襲っていたコマンドウルフ2匹に向けて【ウィンドカッター】で首を落とす。 無詠唱で放つ【ウィンドカッター】はコマンドウルフ達を圧倒する。 切り落ちた首が地面に転げ落ちる瞬間地を蹴り 真ん中突っ切ってきたコマンドウルフに対して蹴りを入れる。 コマンドウルフの首はゴリっと音を立てて吹き飛んで大木にぶち当たる。 左右に回っていたコマンドウルフは最大限に唸りつつこちらを威嚇してくる。 コマンドウルフの2頭は1番近い戦士の男に向け全速力で走り出す。 私と戦っては勝てないと踏んだのか目標を変えてきた。 戦士の男に2頭がたどり着く前に 首が2つ地面へと転げ落ちる。 血飛沫を上げて音もなく崩れ落ちる。 倒したコマンドウルフの後片付けをする前に 状態異常のパーティに治癒魔法をかけてあげる。 治癒魔法をかけた後 コマンドウルフを解体していく。 毛皮は少し重量がありエンシェントウルフの毛皮の方が軽く保温性もある。 そういえばエンシェントウルフの方が強かった。 しかし群れではなかったが、氷魔法を使用してくる。 【エンシェントウルフ】 未開の森にしか生息しない魔法を行使してくる狼の魔物。 2mほどの大きさがあるが動きはとても俊敏。 移動した所を凍らせる特性がある。 エンシェントウルフの毛皮は最高級で高値で取引されている。 コマンドウルフの肉質は少し固めだろうか。 また獣臭く普通に焼いただけでは食べにくいように感じる。 ハーブのようなもので臭みをとる香草焼きなどが向いてそうである。 とブツブツ言っていると 戦士風の男がこちらに歩み寄ってくる 「旅のお方助けていただきありがとうございます。」 「全滅1歩手前で死を覚悟しておりました。」 それは良かったと彼に一言声をかける。 戦士風の男に 「ファストの街」がどこかを聞いてみると 「ファストの街ならこのまま道を抜けると見えてきますぞ。」 「もしよろしければなのですが魔物調査で森に来たのですがコマンドウルフが発生しているなんて思っていなくこの有様です。」 「街までご案内するので護衛していただけないでしょうか?」 と戦士風の男に提案された。 承諾し戦士風の男たちと話しながら森をぬけていく。 「私たちは深緑の流浪者というパーティで私はファグと申します。 このパーティのリーダーをしている。」 と戦士風の男ことファグが話す。 ファグは顔立ちが整っており頭髪は金。 178cmくらいで余分な脂肪はない体つきをしている。 「あっしは重戦士のアーガスっす。 本当に助けて貰って助かったっす。」 とタンク風の男ことアーガスが話す。 アーガスは少しほりが深く渋い顔をしているが フランクな話し方をするようだ。 「助けていただいてありがとうございます。 私は……魔法使いのミリーと言います。」 と魔法使いのミリーが話しているが何故かモジモジしている。 多分先程恐怖で下半身を濡らしていたからであろう。 「感謝。」 とだけ話す弓を持った男が話す。 ファグが慌てて話し始める。 「こいつの名前はマース。 弓使いだ。無口でな。」 ファグに構わないと声をかける。 すまんなと声をかけてくる。 「そういえばお兄さんの名前聞いてなかったな。」 「リョウ」と名乗る。 「リョウさんと言うんだな。あんたほんと強いんだな。 しかも見たことのない装備ばかりだ。」 あんまりこのことについては話したくないなとしていると。 アーガスが 「リーダー色々事情がありそうっす。聞くのは不躾だと思うっすよ?」 とファグに言う。 「そうだな。すまなかった。」 「そろそろ森を抜けるぞ」 と言った瞬間に森を抜けると綺麗に舗装された道沿いの向こうに街が見える。 屋根は赤で統一された綺麗な街並み。 洋風建築のようだ。 行ったことは無いが写真だけ見た事のあるイタリアの少し栄えた街の様相に似ている気がする。 街に着くと ファグ達は手のひらをひらひらとしながら 「本当にありがとう。 何かあれば街の真ん中に冒険者ギルドがあるから尋ねてみるといいですよ。」と言って去っていた。 早速冒険者ギルドへ行ってみよう。
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