第7話 魔王の復活

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第7話 魔王の復活

ギギギギギィィギギ ギギギギ ギギギィギィギィギ エビル山脈中腹にゴブリンの大隊が1度休憩をしているようだ。 私たちでは理解できない言葉を使っている。 クレメンスに彼らの言葉は理解できるのかと聞いてみる。 「魔物の言葉は全て共通だからな。」 「少し翻訳してみることにしよう。」 クレメンスの顔が少しづつ強ばっていく。 一通り話を聞き終わったのか ゆっくり私の方へ向き直し 「遼よ。」 「驚かず騒がしくせずに聞いて欲しい。」 と言ってゴブリン大隊の話をしてくれた。 ゴブリン大隊は『ヘイスタニア王国』から最西にある未開の地へ向かっているようで 目的は最近復活した魔王の根城を作るために進軍して 占領すること。 また寄り道にヘイスタニア王国に進軍し 魔王の奴隷として住む者を全て働かせる計画らしい。 しかし魔法の復活などファストの街で聞いた覚えがない。 クレメンスに聞いてみても 「我にもわからぬ。」と言っており 信ぴょう性があまりないが ゴブリン達が略奪をしに来るということを聞いて 尚更殲滅するしかないということだ。 魔力検知を行うとおびただしい赤い丸が表示されていてどれくらいの数がいるのか想定も出来ない。 どの魔法を使うか考えていると ふとクレメンスに質問をすることにした。 ミノタウルスって魔法に対して耐性はあるの? 「ミノタウルス自体は魔法に耐性はあまりないな。」 「しかし我のような2つ名持ちは魔法・斬撃・物理に耐性を持つものも多いな。」 「私は特に魔法に耐性があるようでな。」 「仮に遼があヤツらに魔法をぶち込んだところで我に影響はないから存分に奮うといい。」 であれば 聖魔法の上級魔法である ホーリージャッジメントをゴブリンたちに向けて放つ。 ホーリージャッジメント(聖なる裁き)という魔法で 視認できたもの全てに対して聖魔法を放つことの出来る全体魔法。 未開の地でジャイアントゴールデンアント(全長2mの金色のアリ)の群れに遭遇した際に消し炭にしてしまった魔法である。 しかし装備などは滅ばないようで あくまでも対象とされている物体にだけ影響を及ぼす魔法のようだ。 念の為結界魔法で私たちとゴブリン達に結界を張り 私たちにはもう1重で強力な結界魔法を多重でかけておく。 大隊の真ん中に丸い球体の光が現れる。 そして音もすることなく丸い球体は大隊を飲み込むように光が大きく広がる。 1度「ゴォォォ」と轟音がなり 光が大爆発を起こす 密閉されていることもあり奴らは逃げる場所はなく大爆発の瞬間に眩い光が私たちの目を暗ます。 光が消えた頃には 大隊のゴブリン達は消し炭になっており 装備だけ地面に転がっている。 魔力検知を行うと 私たちがいる方向と反対の洞窟の奥側から 大きな赤い点と中隊くらいか50人くらいの赤い点がこちらへ向かっている。 また ギギギィギィギィギと声が聞こえる。 クレメンスが耳打ちしてくる。 「あヤツら轟音がしたことから慌ててこちらへむかってきているようだぞ??」 と耳打ちしてきた。 クレメンスに 雑魚ゴブリンは任せていいか?と聞いてみると 「無論だ任せろ!」 「ゴブリンの王はまだこちらに向かってきていないようだ。」 「奴らが通っている洞窟の奥にいるゴブリンの王からの命令で様子を見に来ているようだな。」 ではこの中隊をクレメンスに任せると声をかけ 「また後でな」と声をかけられる フラグみたいに言わないでくれと言うと 疑問そうな顔でこちらを見てくる そのまま闇魔法の中級魔法「インビジブル」を使用して 奴らにバレないように奥の通路へ歩みを進めていく。 【クレメンス視点】 遼に中隊を任せると声をかけられたのだ。 下等生物に遅れは取らないが 「あいつ」とはまた違う「友」が我にできた。 そんな友から「任せていいか?」と我の実力を信用してくれているようだ。 「友」が守りたいものは我も同じように守りたい。 遼が透明の魔法を使って奥の洞窟へ歩みを進めている頃 ゴブリンジェネラル率いる中隊が我の前にたちはだかる。 ゴブリンジェネラルは我を見て 「貴様が先程の轟音の主か?」 と聞いてくる。 我は「そうだ」と奴らに告げる。 今は遼がキングに向かっていることを伝えるのは得策ではない。 「貴様同胞を皆殺しにした償いは受けてもらうぞ。」 「我らは必ずお前を許さない。」 といい ゴブリン達を我らに突撃させる。 我は斧を構え 向かってきたゴブリン達を薙ぎ払うように切りつけていく。 1度もこちらへ武器を振るうことはなくゴブリン達は地面へと転がり絶命している。 ゴブリンジェネラルはその惨劇を目の当たりにし 我に激高し 「貴様また同胞を皆殺しにしたな。」 「同胞達みたいに簡単にやられると思うなよ。」 とても業物のように見える三叉槍をこちらに構えてくる。 構えも悪くないある程度やるようだ。 しかし我の敵ではない。 あちらが先に攻撃を仕掛けてくる 精錬された突きを繰り出してくるが若すぎる。 フェイントを入れることの無い真っ直ぐな突き。 こやつが真っ直ぐな性格で仲間想いのやつなのであろう。 しかしそれとこれはまた違う。 奴の突きを足を振り上げそのまま三叉槍ごと踏みつけて 動けなくし斧は使わずに殴りつける。 避けることは出来ずにそのまま吹き飛ぶゴブリンジェネラル。 洞窟の岩の壁にそのまま叩きつけられる。 声にならない声を上げながらうずくまっている。 間髪入れずにゴブリンジェネラルに近寄り そのまま蹴りあげる。 痛めつけている訳では無い。 遼が到着する前に殺してしまうと 群れをなす魔物たちは共有といって 同胞の生命が途絶えたことを感じることが出来るため時間を使わないと 遼の作戦がバレてしまう可能性がある。 気絶しているのかピクリともしない。 やつに近づき心の臓の音を聞くと鼓動は止まっていない。 ただ気絶をしているようだ。 もう少し時間は稼がないといけないが 当分の間気絶しているだろう。 あとは遼がうまくやるだろう。 【遼視点】 クレメンスが中隊を引き付けている間に 闇魔法のインビジブルで姿を隠す。 中隊が横を通ったあと 中隊が通ってきた洞窟の奥へと進んでいく。 魔力感知を使い 洞窟の奥の魔物たちの魔力を感知する。 5分ほど歩いた先に大きな空間があるようで そこに大きな赤い点が止まっており その周りを無数の赤い点が 規則性正しくゴブリン王の周りに12個の部隊が点在している。 ゴブリン王の部隊であろう。 幸い規則性正しく赤い点が表示されていることから 難しいことは無さそうだ。 大きな赤い点以外に範囲攻撃魔法を放つ。 氷魔法と水魔法の融合魔法 「霧と氷の複合魔法 ニブルヘイム」 範囲攻撃魔法で 指定された範囲の対象物に 抗えない凍てつく魔法攻撃を与えられる。 その魔法はどんな耐性を持つ者を無力化することが出来るが 詠唱にとてつもなく時間がかかること 詠唱破棄の魔法を打たれると破棄されることから 完全に不意打ちの状態でしか使用ができない魔法である。 本来は長ったらしい詠唱するのだが 私は範囲指定と対象者の指定などの設定を行い放つため詠唱はいらない。 ただし、同じく時間がかかるため無詠唱で即座に放つことは出来ない。 ドーナツ型に範囲を設定。 ドーナツ型の真ん中は対象とせず 周りの赤い点全てを対象とする。 初めて行使する魔法なのと対象者が大勢いるためか設定に時間がかかる。 設定を終え 対象者がいる奥の空間に向けて手を向ける。 奥の空間からここまで冷気と白煙が足元を抜けていく。 奥の空間へ歩みを進めていくと同時に先程設定してあった範囲を別の魔法で使用する。 闇魔法 中級 「グラビティ」 重力魔法の1つで。 範囲内の敵を浮かせたり 地面に押し潰して移動制限をかける魔法。 凍らせた対象者をそのままグラビティで粉々にする。 奥の空間でガシャーンと何かが粉々に割れた音がする。 冷気が留まるその空間の真ん中に憤りをあらわにした大きなゴブリンが立っていた。 「貴様の仕業か!」 「ゴブリン王 サーバスに敵意を向けたこと後悔するがいい。」 「我は魔王軍配下の軍団であるぞ。」 サーバスにむけて ゴブリン王がこんな地に何用か? と聞くと 怒声のようなものでこう答えた。 「魔王様に新たな領地と男どもは働く豚として 女は働く豚を生産する肉奴隷として 子供は魔王様の供物として献上するのだ!」 「我らはその任を賜り進軍している。」 「そんな我らの邪魔をする小童をゆるさんぞ。」 と私に持っていた薙刀で今にも襲いかかろうとしている。 とりあえず何をしたいかがある程度わかったがもう少しこの巨木の王に話を聞く必要があるため 「身体強化魔法」を用いて ゴブリン王の懐へと瞬時に移動し でっぷりとした腹に思いっきり空間奥の土壁へ向けて殴りつける。 吹き飛んだゴブリン王は土壁に叩きつけられ 受け身も取れずに頭も土壁にぶつけ 軽い脳震盪のようなものを起こしているようだ。 間髪入れず ゴブリン王の羽織っている衣装を掴み 床に叩きつけて 右横腹を蹴りつける。 反対側の土壁まで吹き飛ばされるゴブリン王。 土壁に激突して床に転がる。 新しく作った魔法 闇魔法 「アイアン・メイデン」を横たわるゴブリン王に放つ。 「アイアン・メイデン」 異世界の拷問器具。 聖女を象った金属の人形。 中は空洞で左右に開く扉の内側に長い釘が内部に向かって植えられている。 横たわるゴブリン王はアイアン・メイデンの中に吸い込まれていき 張り付けられる。 ゴブリン王に 聖魔法の初級「フラッシュ」を放ち 目が開く。 ゴブリン王は置かれている状況が分からないのかじたばたしている。 ゴブリン王に「新たな領地」とは?と聞くと 「新たな領地とは未開の地だ」 と口をふるわせて答えてくる。 未開の地を魔王が住む領地にするのか? 「未開の地を開拓し、住める領地にするのが我らの任務だ。」 「周辺の街とヘイスタニア王国を統治し人間共を奴隷化させるのが我らの任務だった。」 「貴様は何者だ。」 「本当に人間か?」 「貴様の魔力量が恐ろしすぎる。」 「貴様は一体何者なのだ!」 と身体も震わせているゴブリン王。 アイアン・メイデンを閉じるように手をかざす。 するとゴブリン王は 「我らは魔王様に忠誠を誓っております!!」 と言って絶命し閉め切ったあとはそのまま消滅した。 ゴブリン王が持っていた薙刀と着飾っていた衣類だけが地面に落ちている。 それを入手しクレメンスと合流する。 ゴブリン王の愛した薙刀 ゴブリン王の豪華なマントを入手。
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