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地元の駅に着く手前で美音に声を掛け、二人でデッキに移動する。
「少しは寝れたか?」
「う〜ん、うとうとしただけ」
そうだろうな、もそもそ動いては繋いだ手を握り直していた。
「到着だ」
電車がホームに滑り込む。
美音を先に降ろしてキャリー毎俺が降りると、いきなり美音がホームを駆け出した。
え?ああ、そういう事か。
「みぃねえー!みぃ姉!!」
凪紗と真也がホームの向こうから駆けてきた。
「二人共走っちゃダメ!!」
その後ろにひかりを抱いた母ちゃんだ。その僅か20mも満たない距離を全力疾走のチビ達、美音がその腕を広げてしゃがんだ。
そこに飛び込む二人、勢いで倒れそうな美音の背中は俺が護っている。
「みぃ姉!みぃ姉…!!」
「みぃ姉ちゃん!!」
泣きながらギュッと美音にしがみつく二人だ。
「うん、ただいま…!凪紗、真也」
その小さな腕で愛しい存在を強く抱き締める美音。こっちも泣き出している。
「みぃ姉、もうどこにもいっちゃ嫌だ。ずっとお家にいて…!どこにも行かないで!!」
「うん、いるよ。もうどこにも行かないからね」
「みぃ姉ちゃん、あのねあのね…!」
「大丈夫真ちゃん、ゆっくりでいいから」
「うん…!」
そうだ真也、ゆっくりで良いんだぞ。美音はもうずっとあの家に居るんだからな。
ちび組を抱く美音を見ながら、やっぱり一番ボロボロ泣いているのは母ちゃんだった。
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