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西成に向かう電車の中でも、美音は俺の手を離さなかった。
「大阪は相変わらず暑いな」
「そうね」
それでも俺の手をギュッとする美音、もう大分汗ばんでいるのに。
手を離したら俺が消えるとでも思っているのかな、これはもう夢じゃないんだぞ美音。
「西成には5時ぐらいには着くかな。福島に帰るのは無理しなくても良いから、美夜さんにゆっくり顔を見せてやれよ」
18時の新幹線に乗らないと今日中に家に帰るのは無理だ。それなら明日の朝にでも帰る方が良い。
それに今日中に帰るとか言うと、きっとチビ達が無理やり起きて美音を待つから。到着は真夜中になるのにそれはダメだ。
「うん、拓海も一緒に居てくれる?」
「ああ、美音が藤原さんの所に泊まるなら、俺も近くのビジネスホテルにでも泊まるよ。大丈夫だ」
「え…やだ、一緒がいい」
また、手がギュッとだ。でも俺まで藤原さんの所に図々しく泊まるわけには。
「今日は拓海とずっと一緒にいたいの、離れたくない」
「美音」
それは当然俺もだけど。俺を見上げる美音の涙目が切ない。
「分かった、美夜さんに会ってから決めよう。お前を置いていったりしないよ」
「うん」
ようやくホッとした様な美音が、甘えるように俺にもたれ掛かった。
美音も暑いだろうに。それでも俺の傍が良いんだ。
俺もだよ。
お前の傍が一番ホッとする。
夏の大阪 天王寺公園側からあべのハルカスを望む
暑かったよな〜ハンパねぇ大阪の夏…( ̄▽ ̄;)今でも思い出します。
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