act.1 君の待つ街に

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 西成に向かう電車の中でも、美音は俺の手を離さなかった。 「大阪は相変わらず暑いな」 「そうね」  それでも俺の手をギュッとする美音、もう大分汗ばんでいるのに。  手を離したら俺が消えるとでも思っているのかな、これはもう夢じゃないんだぞ美音。 「西成には5時ぐらいには着くかな。福島に帰るのは無理しなくても良いから、美夜さんにゆっくり顔を見せてやれよ」  18時の新幹線に乗らないと今日中に家に帰るのは無理だ。それなら明日の朝にでも帰る方が良い。  それに今日中に帰るとか言うと、きっとチビ達が無理やり起きて美音を待つから。到着は真夜中になるのにそれはダメだ。 「うん、拓海も一緒に居てくれる?」 「ああ、美音が藤原さんの所に泊まるなら、俺も近くのビジネスホテルでも探すよ。大丈夫だ」 「え…やだ、一緒がいい」  また、手がギュッとだ。でも俺まで藤原さんの所に図々しく泊まるわけには。 「今日は拓海とずっと一緒にいたいの、離れたくない」 「美音」  それは当然俺もだけど。俺を見上げる美音の涙目が切ない。 「分かった、美夜さんに会ってから決めよう。お前を置いていったりしないよ」 「うん」  ようやくホッとした様な美音が、甘えるように俺にもたれ掛かった。  美音も暑いだろうに。それでも俺の傍が良いんだ。  俺もだよ。  お前の傍が一番ホッとする。 034fbf30-8745-4e03-96de-d875646d827b 夏の大阪 天王寺公園側からあべのハルカスを望む   暑かったよな〜ハンパねぇ大阪の夏…( ̄▽ ̄;)今でも思い出します。通勤途中にクマゼミの群生地帯があって、よくシッコを掛られた…
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