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「陽斗君が嫌なら、僕はソファーで寝るよ。それなら、いい?」
「……っ」
……なんだよ、それ。
そんなの、俺は良くても、東条は何も満たされないのではないか。
東条は俺にキスやハグをする事で、自分の欲求を満たしているはず。
だとすれば、俺が泊まるからには、一緒に寝た方が良い事は確かではないか。
(それなのに、自分はソファーで寝るって……なんか意味あんのかよ)
考えた末、俺は東条に問い詰めた。
「ソファーに寝るなら、俺が居ても意味なくね?」
「……確かに、そうだね。でも」
東条は「はぁ」とため息をを漏らし、俺をそっと体から離すと、優しく、少し困ったような笑みを浮かべた。
「昨日、陽斗君が部屋から居なくなった時、僕はね……寂しかったんだ。この部屋が広く感じた。陽斗君とずっと一緒に住んでるとか、そういう訳じゃないのに、ね」
(東条……)
東条の気持ちを聞いて、なんだかキュンとしてしまう。
俺がいない事で、寂しさを感じていたなんて……。
そんな事を言われたら、今日のお泊まりを断れないではないか。
(ズルい……)
そう思うものの、俺はもう半分泊まる気になってきている。
(ここで意地張っても、仕方ない、よな)
……いや、うん、仕方ないけど。
素直に伝えるのはクソ恥ずかしい。
が、ずっとこうして見つめ合っていても埒が明かない。
俺は顔が赤くなるのを感じながらも、本音を打ち明けた。
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