お誘い

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――食堂にて。 俺は購入したAランチをテーブルに置き、深いため息をついた。 「……しつこい」 「まぁね、それが僕という人間なんだ。狙った獲物は逃さない、決めたことは最後までやり通す。更に言うなら、飽きたらサッサとやめる、かな」 「”かな” じゃない!」 そう、あろうことか、イケメンは食堂までついてきたのだ。 なんとも身勝手な言い分に思わずツッコミを入れ、俺はドカッと椅子に腰を下ろし、両手を合わせる。こんなヤツに構ってないで、早く腹を満たそう。 「いただきます」 「ふぅん……おいしそうなランチだね。ここはひとつ、僕もサンドウィッチかなにか頂こうかな」 「……ご勝手に」 「よし、買ってこよう!」 (はぁ……) 颯爽と去っていく後ろ姿を見送る事もせず、俺は黙々とランチを口へ運ぶ。 再び嵐が来る前に食べ終えてしまいたい。 そんな事を思いつつ、俺は何度目かのため息をついた。 (……うまい) 目まぐるしさに疲れていたせいか、今日の学食は一段とおいしく感じる。 俺は一旦、諸々の事を忘れて食べることに集中した。
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