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(……着替えよ)
東条には頼らない。
そう決めて、俺はヨロヨロとバスルームへ向かい、簡単に体を拭いてから着替えを済ませた。
そしてベッドに横になってみると、ぐぅ、と腹の虫が鳴き始めてしまった。
(あー……腹減ったな)
切なくなってきて、俺は自然と壁を見つめる。
(この向こうに、東条……)
会えばまた、訳の分からない事を言うだろうし、鬱陶しいのも想像がつく。
しかし、何故だろう……
(会いたいと、思うなんて……)
あの鬱陶しさも、無いと楽かと言えば確かにそうだが、寂しくもある。
特に、こんな風に風邪で弱ってる時には、そう感じるのかもしれない。
(会いに……行こうかな)
ウズウズして、俺は身を起こす。
でも、もし居なかったら?
もし、迷惑がられたら?
もし……
(彼女とか、来てたら……?)
想像するだけで、なんかショックだ。
「はぁ〜〜……俺、何考えてんだろ」
これではまるで、東条に恋をしてるみたいじゃないか。
(別に、女がいようが、いいだろ。迷惑がられたなら帰ってくればいーんだし)
俺はどうにか考えをまとめると、すくっと立ち上がった。
(べ、別に、東条に会いたいとか、甘えたいとか、そういうんじゃないからな。俺はただ、風邪薬をもらいに行くだけだっ)
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