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(ええ……っ!?)
ぎゅうっと体が締め付けられ、その後、ふわりと開放される。
顔を上げると、東条は満面の笑みで俺を部屋に招き入れた。
「入って。風邪薬ならあるし、温かいお茶もあるよ。あ、夕飯は食べれたかい?」
「え、と……まぁ、一応食べ……」
グゥゥ。
食べた、と言おうとしたところで、タイミング良くというか、悪くというか、俺の腹が鳴った。
「……っ」
「陽斗君……お腹、空いてるんだね?」
「……っす、少しだけ、だけどっ」
あくまでも強がって言うと、東条は見透かしたようにクスッと笑い、俺の肩を優しく抱き寄せ、部屋の中央に置いてあるテーブルへと誘導する。
「座って。何か消化にいいものを用意するよ。少しだけ待っててくれるかい?」
「う…………うん」
……はぁ、これは見事に作戦失敗だ。
というわけで。
風邪薬だけ貰って帰る計画は見事に崩れ去り、俺はまたしても東条の部屋で過ごす事になった。
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