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――その後、俺は東条と一緒に雑炊を食べ、体調も少しだけれど回復した。
「うわ、もうこんな時間……!?俺、帰らなきゃ」
スマホを見て、思ったよりも時間が経っていて焦る。
現在、夜中の1時。
幸い、電車で帰るわけではないので、終電がないだとか、タクシー拾わなきゃとか、そういった問題はないのだが……。
ていうか、隣だし。
ワタワタしていると、東条の手が肩にかかり、動きを止められる。
「待って、陽斗君。ここからどうやって帰るの?歩き?」
「あ……う、うん、まぁ、そうだな。近いし、心配すんなよ」
「近いんだ……ちなみに、ここからどのぐらい?」
「どのぐらいって……」
……マズイ。
咄嗟に良い答えが浮かばず、俺は東条の手を振り払って誤魔化す。
「べ、別に、どこだっていいだろ?じゃ……」
「待って」
「……っ」
立ち上がろうとした瞬間、腕を引かれ、俺は東条の腕の中に捕らえられた。
「な、なにす……っ」
「まだ……身体が熱い。今日はうちに泊まっていきなよ、ね?」
耳元で甘い声が響き、全身がビクンと跳ねる。
「あっ、や……っ離せよ!……泊まるったって、ベッドひとつしかねぇだろっ」
またしても、東条の色香にやられそうになり、俺は必死に身を捩る。
けれど、東条の力は案外強く、ビクともしない。
東条は俺を抱き締めたまま静かな声音で言う。
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