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「来たね」
「……来たけど?」
チラリと上目遣いに見上げると、東条の熱っぽい瞳が俺を捉える。
(な……なんか、緊張してきた……っ)
心臓が早鐘を打ち始め、俺は思わずクルリと東条に背を向けた。
すると東条が、不思議そうに顔を覗き込んでくる。
「陽斗君?どうしたの、ベッドに入ろう?」
「ま、待て……っ、俺、なんか、緊張……して」
「え?緊張って……陽斗君、大丈夫?こっち向いて」
「っやめ、あっ!」
……どさっ。
俺を振り向かせようとした東条と俺の足がもつれ、ベッドにダイブする。
気付けば、俺は東条に押し倒された状態になっていた。
「あ……」
「陽斗君……顔、真っ赤」
「……!」
正面からまじまじと観察され、俺は首筋まで赤くなる。
「まさか、また熱が上がってきてるんじゃ……」
「……っ」
東条の少し冷たい手が、おでこにあてがわれる。
俺はもうドキドキしっぱなしで、ぎゅうっと目を瞑った。
「うーん……熱はそこまでじゃなさそうだね。でも」
「わっ!?」
突如、ぐいっと腰が引き寄せられ、強引に掛け布団の中へと引き込まれる。
掛け布団からは柔軟剤の良い香りがして、戸惑いつつも、夢のような空間についうっとりとしてしまいそう。
それに、なんといってもこの体勢……
(ちちち、近い……!てか、身体、密着し過ぎ……っ)
東条はまるで俺を抱き枕か何かのように、しっかりと抱きしめて離さない。
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