お泊まり♡

2/10
前へ
/175ページ
次へ
「来たね」 「……来たけど?」 チラリと上目遣いに見上げると、東条の熱っぽい瞳が俺を捉える。 (な……なんか、緊張してきた……っ) 心臓が早鐘を打ち始め、俺は思わずクルリと東条に背を向けた。 すると東条が、不思議そうに顔を覗き込んでくる。 「陽斗君?どうしたの、ベッドに入ろう?」 「ま、待て……っ、俺、なんか、緊張……して」 「え?緊張って……陽斗君、大丈夫?こっち向いて」 「っやめ、あっ!」 ……どさっ。 俺を振り向かせようとした東条と俺の足がもつれ、ベッドにダイブする。 気付けば、俺は東条に押し倒された状態になっていた。 「あ……」 「陽斗君……顔、真っ赤」 「……!」 正面からまじまじと観察され、俺は首筋まで赤くなる。 「まさか、また熱が上がってきてるんじゃ……」 「……っ」 東条の少し冷たい手が、おでこにあてがわれる。 俺はもうドキドキしっぱなしで、ぎゅうっと目を瞑った。 「うーん……熱はそこまでじゃなさそうだね。でも」 「わっ!?」 突如、ぐいっと腰が引き寄せられ、強引に掛け布団の中へと引き込まれる。 掛け布団からは柔軟剤の良い香りがして、戸惑いつつも、夢のような空間についうっとりとしてしまいそう。 それに、なんといってもこの体勢…… (ちちち、近い……!てか、身体、密着し過ぎ……っ) 東条はまるで俺を抱き枕か何かのように、しっかりと抱きしめて離さない。
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

256人が本棚に入れています
本棚に追加