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「おい……っ、離せよ!」
「んー……もう少し。陽斗君て、暖かくて抱き心地がサイコーなんだよね」
「んなっ……」
逃れようと身動ぎするものの、やはり東条の腕力にはかなわない。
「んー……」
「……っ」
こめかみの辺りに吐息を感じ、俺は小さく肩を揺らした。
「……どうしたの、ビクビクして」
「ち、ちが……っぁ、やめ……っ」
身体をビクつかせる俺をからかうように、東条の手が背中から腰元にかけてなぞるように降りていく。
更には、耳元に唇を寄せ、色気を孕んだ声で囁きかける。
「ひーなーと?」
「あっ、ん、や……っ」
思わず変な声が漏れ、俺は耳まで真っ赤に染め上げた。
それを見て、東条はやや気まずそうに、軽く咳払いをする。
「あー、なんか……マズイな」
「へ……?」
「これは……ちょっとマズイ」
「な、なんだよ?」
様子に異変を感じて見上げると、東条は頬を赤くして顔を背けていた。
「な、なに、いきなり照れてんだよっ!?」
「て、照れてるって訳じゃ……ない、とも、言いきれない、かもしれない、ような気もする……」
「いや、ややこしいかよ」
回りくどい東条に冷静なツッコミを入れるものの、照れの方が勝ってしまい、沈黙が落ちる。
暫く無言で俯いていると、そっと頬に手が添えられた。
「ね、陽斗君?僕のこと……これからは優真って、下の名前で呼んでくれないか?」
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