お泊まり♡

5/10
前へ
/175ページ
次へ
「あっ……ば、はか!やめ……っ」 「ふふっ、これでも我慢出来るかな、陽斗君?」 「〜〜〜〜っ」 このやり方はズルい。 ただでさえ東条のキスは気持ちよくて蕩けそうになるのに、それをこんな風に刺激された挙句、目の前でおあずけなんて……拷問もいいところだ。 (く……っ、名前でなんか、呼んでやらない……っ) こうなったら、俺も意地だ。 ”優真”なんて、絶対に呼んでやるもんか。 俺は無心になる為、目を閉じてゾクゾクとした刺激に耐える。 けれど……。 「んっ……」 目を閉じたら余計に感じてしまい、俺はもう堪らなくなって東条の背中に手を回して抱きついた。 「も、やだぁ……」 「ふ……なんだろうね、この可愛いのは」 降参すると、東条はやれやれと肩の力を抜き、俺をやんわりと引き離す。 そして正面から見つめると、優しく俺の頬を撫でて微笑んだ。 「やっぱり、陽斗君は可愛い弟みたいだ。下の名前で呼ぶのが嫌なら、”お兄ちゃん”って呼んでくれても、いいんだよ?」 少し冗談ぽく言う東条。 「う……ふぇぇ……っ」 俺はもう訳が分からず、泣いてしまった。 様々な感情が入り交じる。 男同士なのにドキドキする、 嫌だと言いながらも嫌じゃない、 キスが気持ちいい、 ハグも嬉しいと感じてしまう、 エロい気分になる、 でも東条にとって、やっぱり俺は…… (捌け口、なの……?) しかも、”弟みたい”だの、”お兄ちゃんって呼んで”だの、東条から見て俺はそういう感じなんだと思い知らされる。 (……最悪) 思えば思うほど、俺は気付いてしまう。 自分の気持ちに。 (俺……東条のこと……) そんな、ばかな。 あるわけない。 でももう、気付いてしまった。 この気持ち…… 俺は、東条のことが…… 好き。
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

256人が本棚に入れています
本棚に追加