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外はもう薄暗く、街灯が道を照らしていた。
とはいえ、この辺りは学生も沢山住んでいるので、まだまだ街は賑やかだ。
ちなみに、この辺りについてもう少しだけ紹介すると……
スーパーまでは俺の居るアパートから歩いて5分ほど、コンビニも何軒かあるし、駅もそう遠くない。
最寄りの駅もそこそこマイナーな駅たがら、家賃も良心的。
それに加え、病院も郵便局もわりと近くにあり、大学までは一駅となれば、学生にとってはかなり住みやすい土地だと思う。
(んー、今日はカレーにしよっかな)
スーパーに着くと、俺は買い物かごを手に取り、今晩の食材を物色する。
(カレーなら明日も食べれるし……あ、あと味噌汁も作ろうかな)
そう思い、冷蔵品コーナーへ移動する。
そして、絹ごし豆腐に手を伸ばすと……。
「おっと、失礼」
「あ、いえ、すみませ……え!?」
同じ絹ごし豆腐に伸びてきた手の主を見上げて、俺は愕然とした。
「あ……あ、あんた……ッ」
「やぁ、またしても偶然だね。凄いよ……やはり僕達は出会うべくして出会……」
「失礼します!」
信じられない。
まさかスーパーで会うなんて。
突然の東条の出現に、俺は内心青ざめながら颯爽と逃げた。
逃げるが勝ちだ。
しかし。
(げ、追いかけてくる……!?)
チラリと後方を確認すれば、東条が追ってきているではないか。
「ちょっと待って、なんで逃げるの!?」
「つ、ついてこないで下さい……!」
「いやいや、待ってよ、僕が何かしたかい!?」
(しただろーがっ!)
俺は内心ツッコミを入れながらも、スーパーの中を早足で移動する。
しかし、東条の方が足が速かった。
いや、足が長かった、のかな。
悔しいけど。
俺はまんまと追いつかれてしまった。
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