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「は、離せ……っ」
「いや、今度こそ逃がさないよ」
「なんで……っなんでそんな、俺に固執するんですか!?」
「……なぜだろうね」
掴まれた腕を振り払おうと、もがきながら言うと、東条は深刻な表情になった。
「そうだな……君には人を惹きつけるオーラがある気がするんだ。だからこそ、我が恋愛サークルに入って、僕と一緒にサークルメンバーを集め……」
「お断りします!」
「ええ……ダメ?」
「ダメです」
「……どうしても?」
「はい」
キッパリ言い放つと、東条はガクリと項垂れて、ようやく手を離した。
「分かったよ……しつこくして悪かったね」
「いえ……じゃあ、俺はもう行きます」
「……待って」
行こうとすると、今度は優しく腕を掴まれて、少しドキリとする。
改めて見ると、東条の指は長くて綺麗だ。
それに、少し骨ばった手の甲も、なんだか色っぽく感じる。
「……っ、なんですか?」
「その……君はこの辺に住んでるの?良かったら、途中まで一緒に帰らない?」
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