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義和 side
2022年1月1日朝8時過ぎ、いつもの社長室。
桂木と野々村、そして義和はソファでのんびりティータイムをしていた。
「というわけで、二人は今初詣行ってんの。ね、マジウケるっしょ?」
義和が昨夜(今朝?)の電話での会話を話すと、部下二人は揃って溜息をついた。
「全く、社長も出勤しないならそう言って下されば良いのに。携帯も繋がらないし何事かと思いました」
「うわ、野々村君も桂木君もマジで何も知らされてないんだ、可哀想。もうさ、休みにしちゃいなよ。社長も副社長も来てないんだしさ。つーか毎年思ってたんだけど、この会社何で元旦から働いてんの?兄ちゃんエグいわぁ。しかもケイ兄も何も疑問に思わないとかヤバいわぁ」
当然ながら自分の会社を休みにした義和は、兄の非常識ぶりにケタケタと笑った。
すると、噂をすればなんとやら、ケイティから電話が掛かってきた。
「あ、もしもしケイ兄?明けまし…」
『兄上と初詣に行く』
新年の挨拶を遮られ一瞬ムッとしたが、昨夜の知宏と同じような言い方に怒気が削がれてしまった。
やはりあの二人はどこか似ているのかもしれない。
「……で?」
『お前の入知恵か?』
「入知恵って何だよ?俺関係ねぇよ」
無くもないが、どちらかと言えば首謀者は時子だ。
恐らく神社へと移動中なのだろう。電話越しに車の走る音が聞こえた。
『惚けるな。これ、お前の所のリムジンと運転手だろ』
「は?!ちょ、え、なん、勝手に何してんだよ、も〜。自分とこの使えばいいじゃ〜ん。つーかウチは正月は全社員休みなんだよ!運転手可哀想じゃんか!あーもー!電話、兄ちゃんに変わって!そこにいるでしょ?」
『いる訳ないだろ』
「は?初詣一緒に行くんじゃねぇの?」
『現地集合だ』
「な ん で だ よ !同じ所から同じ所に行くのに何で別々なんだよ?!」
『知るか。それよりも、お前は関わってないんだな?』
「あぁ」
『分かった』
通話が切れたのでとりあえず納得したのだろう。面白くなりそうだとは思ったが、やはり少し面倒になってきた。
「なんなの?やっぱ面倒臭い予感しかしない」
「確かに面白そうな事にはなりそうですが、今年の『兄弟仲良し大作戦』とやら、先が思い遣られそうですね、義和くん?」
桂木が他人事のように悪そうな笑みを浮かべた。
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