102人が本棚に入れています
本棚に追加
礼央くんと付き合うきっかけ、それは紛れもないあの別荘のジャグジーだった。
私はその半年前に彼氏に浮気されて別れたけれど、ずっと立ち直れずにいた。
それくらい彼氏が大好きだった。
私の全てだった。
悲しみと一緒に人に恋する気持ちも彼氏が住む街に置いてきたはずだった。
でも私はどこかで信じていた。
またいつか素敵な恋が出来ると。
そこに寄り添ってくれていたのが礼央くんと高校時代の仲良しメンバーで。
私は優しい皆んなによって、再生されていった。
高校の親友2人の女友達には私が礼央くんをタイプだと思っていたらしく、何かと礼央くんに私をプッシュし続けてくれたらしい。
礼央くんはそれでも中々心を開かない私にサプライズして、例のジャグジーで告白してくれた。
私は自然と、それこそ軽井沢の自然に見守られながら、優しい礼央くんに甘えることが出来た。
礼央くんはそれからもずっと私に優しくて。
その後、高校卒業時にもプロポーズしてくれた、大切な場所だった。
…あそこで歴代の女の子達を口説いていたのか…
まぁ、そりゃそうか…今まで想像もしていなかった私の方が稚拙ではあるな。
でも…
なんだか凄く…
裏切られた気分と、悲しい気持ち。
泣いてしまいたいけど、泣いたら比奈さんを困らせてしまう。
「あれ?もしかしてショックうけてる?」
「ううん、全然。」
「だよね?あの礼央だよ?中学の時から有名だったもん。ヤリ…あはは、ごめん。
でも優良物件には違いないからさ、璃子ちゃん玉の輿だね。」
…やっぱり…息が吸えない…ここは標高が相当高いらしい…酸素が薄い…
最初のコメントを投稿しよう!