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お金の価値
水曜日。
ママが見たことないヴァンクリのネックレスをして朝ごはんの鮭を私の前に置いた。
「ママ。そのネックレス…」
「これ?いいでしょ?つけた途端にママ元気になっちゃってね。」
「あー…うん。いいね。似合ってる。」
30万はするそのネックレスを見て、私の心は停止した。
どうしよう…お金がない…
仕事をして帰ってきても、私はどうしたらいいか分からなかった。
お風呂に入ってボーっとしているとメールの着信があり、私はそれに直ぐ返信した。
家の前に一台の車が止まった。
「ありがとう、亨くん。」
私はその白いシーマの助手席に乗った。
亨くんは私が中3の時に出会った、友達の彼氏。
年は4個上、その時からもう働いている。
友達とはとうの昔に別れている。
家が近所で、引っ越して来て早々にバレてしまったから亨くんにだけは全部話して皆んなには口止めしていた。
「ようやく俺に振り向いてくれた?」
ふざけている亨くんはあれから益々色気に磨きがかかっている。
もちろん私はタイプじゃない。
私は真面目な人がタイプ。
「昔を懐かしく思っただけ。ちょっと付き合ってほしくて。」
「おともしますよ。」
「ごめんね、ありがとう。」
話を聞いてもらい、ドライブして帰ってくると、家の前に高級車が停まっていた。
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