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我が家に親戚が集まりお通夜の予定を話し合っていると、誰か来た。
藤くんとおばあちゃんだった。
藤くんは亨くんの親友で私も友人。
4個上、おばあちゃん同士も友達だった。
「忙しいとこごめんな、ばあちゃんがどうしても会いたいって。」
「ありがとうございます。どうぞ。」
藤くんのおばあちゃんもこの数年で足腰がかなり弱くなっているようだ。
私が手を差し出すと、ぎゅっと握ってきた。
「あんた会ったことあるな。」
「あははっ、おばあちゃん覚えててくれたんだ。」
おばあちゃんは亡骸を前にすると、静かに手を合わせて、涙を流した。
私もその姿に鼻の奥がツンとなる。
「璃子、おまえ亨とは会ってたらしいな。」
藤くんがボソッと呟いた。
「うん。近所だから帰ってきて早々にバレた。」
「バレたって…。うん、まぁ、大変だったな。またお通夜に顔出すから。」
藤くんとおばあちゃんは帰っていった。
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