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お経が終わると食事の用意をする為、エプロンを付けた。
お寿司やオードブルなどを並べて来ていただいた方に振る舞う。
近所の方々がお手伝いしてくださり、私がアワアワしていると、「璃子ちゃん、これお酌して来なさい。」とお盆を渡された。
熱燗を持って席へ行くとここへ座れと手招きされる。
「誰だ、喪服のコンパニオンか。」
先制パンチされ「孫の璃子です。」と言うとこんな子がいたのかと盛り上がっている。
母はずっとこの実家とは疎遠だった。
祖母の痴呆と体調不良により私と数年ぶりに実家に帰ってきたから親戚と私はほとんど付き合いはない。
初めて会う方ばかりだった。
「お母さんも綺麗な子だったけど。あんたの方が数段綺麗だわ。やっぱり都会の子は違うね。」
「あれ?でも今こっちで働いてるんでしょ?田舎は慣れた?遊ぶとこないから面白くないでしょ。」
「働いてんの?」
「大学辞めただぁ?勿体ない。」
「あの男、子供まで作ったんだってな。いい男だったもんなぁ。やっぱり顔がよくて金がある男は若い女にいくよ。」
「そりゃそうだろ。女は若いに限る。」
「璃子ちゃんも気をつけなさいね。お父さんみたいのに捕まっちゃダメよ。」
「綺麗な子はそれが大変なんだよ。あらゆる男がよってくるからな。」
「あれ?駐車場で遊んでたの璃子ちゃんの彼氏でしょ?」
「アレは遊んでるぞー。付き合うならいいけど、結婚はやめとけ。絶対不倫する。」
「それは分からないわよねぇ。璃子ちゃんだけってなるかもしれないわよね。若い時はああいう男の子に惹かれてしまうものよね。優しくて真面目そうで…でもモテるでしょ?分かるわぁ。甘い顔してるもん。」
「皆さん今日はお忙しい中ありがとうございます。」
兄が私の隣に座り、私の膝の上で手を払った。
助かったと思い私は失礼しますと席を外した。
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