永遠の別れと再会

5/11
前へ
/428ページ
次へ
次の日のお葬式も無事終えて、夕方皆んなでお茶を飲んでいると、チャイムがなった。 結弦くん、彰くん、真二くん、それとキミちゃんだった。 キミちゃんは私の元彼、雄吾とキスをしたと打ち明けてきた友人。 「高遠さん、ちょっといいかな。」 真二くんが言うけど、私は言葉が出なかった。 お姉ちゃんが玄関先のこの状況に気付き、「中に上がってもらいなさい。」と声をかけてきた。 母も出てきて、中学同級生皆んなをみて懐かしいと喜んで泣いている。 私はしかたなく「どうぞ」と招き入れた。 母がごゆっくりとジュースとお菓子を置いて出ていった。 母の中ではまだ私達はジュースとお菓子なのだなと笑えた。 真二「疲れてるとこごめんね。」 璃子「ううん。大丈夫。」 結弦「喜美枝、ほら、言うことあるだろ?」 キミちゃんは顔を上げて真っ直ぐに私をみた。 「璃子、謝るわ。ごめん。」 納得いってないような言い方だったけど、私は許す事にした。 「うん。もういいよ。来てくれてありがとう。」 私が笑いかけると、キミちゃんはシクシク泣き出した。 「ちょっと、キミちゃんが泣くだなんて雪降るんじゃない?」 私がワザとふざけて言うと 「うるさいわ。」とキミちゃんは少し笑った。 彰「俺らが喜美枝と市川のこと知ったの最近でさ。」 結弦「高遠さんに心配メールしたんだよ?」 璃子「うん。ごめん。無視してた。」 結弦「ひっで。」 璃子「だって私は地元じゃないけど、キミちゃんは地元でしょ?雄吾も。 2人が付き合うなら黙ってた方がいいと思ったの。」 真二「高遠さんていっつも損な役ばっかりだな。喜美枝と市川なんかの為にそんな気使わなくていいのに。」 璃子「あははっ。そんなんでもないよ。私は…本当にショックすぎてね、全部忘れたかった。ごめんね、皆んなよくしてくれてたのに。恩知らずな態度して。」 結弦「喜美枝が悪いんだからいーよ。もう一回謝れよ。」 喜美枝「もう謝ったじゃん。」 璃子「あははっ、うん、もういいよ。」 喜美枝「璃子、あんた家大変だったね。大学も辞めて今働いてるらしいじゃん?」 璃子「うん。働いてる。キミちゃんは?」 喜美枝「私はね、短大。楽しいよ?就職も決まったしね。彼氏も出来たし。めちゃくちゃ優しい彼氏。」 璃子「そっか。良かったね。」 喜美枝「なんか逆転したね。」 璃子「何が?」 喜美枝「立場が。あんたが貧乏で働いてるとかさ。想像も出来なかったもん。」 璃子「あはははっ。」 真二「おい喜美枝っ。言い過ぎだ。」 喜美枝「ごめんごめん。でもこれでようやく璃子も私の気持ちが分かったと思う。人生、何でも手に入るとは限らないんだよ。」 結弦「お前って本当にひねくれてるな。よく彼氏出来たよな。」 喜美枝「結弦は私のこと妬んでるんでしょ?あんたまだ彼女出来ないらしいね。」 結弦「残念でした。もうちょっとで付き合えそうですから。」 喜美枝「騙されてんじゃないの?気をつけなよ?チェリーボーイ。あはははっ。」 結弦「むっかつく、きっしょ。おまえいつか痛い目に合うぞ。」 喜美枝「痛いと思わなければいいだけでしょ。」 璃子「まぁまぁ、そこら辺にしよーよっ。」 彰「高遠さん、今日葬式だったんだぞ?」 結弦「あ、ごめん高遠さん。」 喜美枝「私はもう謝らない。」 璃子「あはははっ。」 中学のあの頃に戻ったようだった。
/428ページ

最初のコメントを投稿しよう!

102人が本棚に入れています
本棚に追加