エチュード

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母の感情の波は大分穏やかになってきた。 夕飯のメニューの内容と品数を見れば分かるが、正直あまりお金をかけてほしくない。 でもやる気を削ぐわけにもいかず、黙っていた。 「ママ、今日の煮魚も最高!」 「良かった。璃子ちゃん、無理しないでね、お仕事…。」 「楽しいよ?今日は取引先の人がね、私にってフルーツ大福くださったの。美味しかったよ〜。」 「そうなの?良かったわね。璃子ちゃん。」 「私頑張るね。ママ期待してて。」 夜はPhotoshopの勉強。 少しでも覚えていけたらと思っている。 着信♪ 「おつかれさま、璃子ちゃん。」 「おつかれさま、礼央くん。」 私の癒しの時間のはじまり。 遠距離恋愛を一度失敗した私でも、相手が代わればこうも違うものかってくらい順調に交際は続いている。 「今日はサークルの皆んなで新しいクラブ行ってきたよ。」 礼央くんは細かいところまで報告してくれる。 内容から女の子がいたとしても、大丈夫そうだなぁと変換出来る。 やましいことあればこんなに報告してこないだろうと思えてくるからだ。 「璃子ちゃんは?」 私の話もうんうんと聞いてくれて、私がこんなふうに仕事を頑張っていけてるのは確実に礼央くんのおかげもあった。 「もうすぐこっちお祭りなんだ。だから何かと駆け込みの受注とかあって忙しいよ。」 「へーっ。じゃあお祭り一緒に行く?」 「ううん、その日は水族館行こうって言ってたでしょ?私がそっち行くね。」 またあの秋祭りがある。 私は同級生たちに会わないようにコソコソと行動していた。
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