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やりおった……やってしまいおったでミノちゃん……!
『ぶほほびば―――!!』
その瞬間、私の今の本体、大魔王べノーラが吠えた。 狂喜乱舞した。 おそらく目はハートになっているのだろう。 べノたんの語彙力は吹っ飛んだらしい。
『ふご―――ふごご―――!!』
うっわぁ……気持ちも分かるし同類だけど、醜い……イタイわ……。
大魔王が鼻息荒く雄叫びをあげている間も、二人の接吻は続いていた。 け、結構長いでミノちゃん……そう思って見ていると、ようやくミノちゃんがシドを解放した。 シドはやはり茹でダコのように真っ赤で、呼吸も乱れていたけれど。 その顔は、なんともとろけているようにも見えた。
「どうかな……こんな感じで。 満足?」
『ふががが! ふーがふが!』
嘘をおっしゃいべノたんめ、絶対もっとずっと先まで妄想していたでしょうに。 しかしその第一段階である『キス』を、目前という特等席でとくと鑑賞出来たことで、大魔王べノーラ……フシダーラ地方の邪念の集合体は十二分に満足出来たらしい。
霧散するかのように、大魔王べノーラは消滅したのだった。 それはもう、呆気なくといえば実に呆気なく。うわぁ、チョロいな大魔王……!
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