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『……兄ちゃんは、優しすぎるんだよ……黙っときゃいいのに』
どことなく呆れた声で、シドがボソリと呟いた。
『安心しなよ、べノーラの成れの果て。 兄ちゃんがその気なら、わざわざカミングアウトする訳ないだろ? 抵抗されるとめんどくさいだけだし』
「ララのおかげでべノーラを倒せたのは事実だからね。 恩を仇で返す訳にもいかないだろ、シンフォレスの誇りを汚すことになる……それになにより」
ミノちゃんは、あっけらかんといけしゃあしゃあと言う。 かんらかんらと笑う顔が、なんとも悪魔だ。 こやつ……優男に見えて、実はかなりSっ気があるな……?!
「俺、呪術なんて扱えないし。 あんなの月の国『インナイトゥ』の専売特許だぞ。 俺、基本アヤシイのって苦手だし……知識はあるけど」
「……じゃ、どうするの……?」
怖々聞いてみると、さらに彼はニッコリと笑うのだった。
「うん。 まずは、この世界で生きていく基盤を整えること、それから始めるしかないかな! 大丈夫、悪い未来じゃないと思うよ。 風向きは悪くない」
いや、屋内にて風向きがどうこうとか言われましても。
「だから、ララの協力が不可欠って言ったろ。 ララの家って広さどれくらい? 俺ら、ご厄介になれそう?」
「ほわぁ?! いぃぃい、一緒に住むの?!」
「この部屋で、シドも入れて三人暮らすのって無理じゃない? なら、ララにこの部屋を解約して貰わなきゃ。 『大森 護』にしか出来ないだろ。
ララの家でも無理だってなら、どこかにか引っ越すか……」
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