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本日は彼の家にお呼ばれした。
初めての彼氏のお宅訪問……『初めて』は、『彼氏』にも『お宅訪問』にもかかっている。
それなりに派手すぎず、華美すぎず、狙いすぎず、それでいてオトコを誘うようなファッションを心掛けた。 いざ尋常に、参る……!
彼の家は、小さいアパートの二階の角部屋だった。 ドキドキしながら二〇七号室のインターホンを押す……そこ、その部屋で待ち構えていたものは。
非日常を愛する私にまさしくうってつけの、非日常な事態だった。
彼の名前は大森 護。 周囲から『マル○ルモリモリ』などと野次られても、怒るどころか微笑みを浮かべてしまえるような、そんなおおらかなオトコだ。 知的で優しい兄貴タイプ。 好き……!
「あ、野辺さん、いらっしゃい。 ごめん、ちょっとバタバタしてて……」
彼は笑顔で出迎えてくれた。もう、ララって呼んでくれていいのに。 むしろ、呼んで……。 いや、呼ばれたら召されてしまうかも。 それはそれでまずいか、うんにゃ、彼の腕の中というのならそれもまた本望……!
かくいう私は彼のことを、脳内では某ムーンのごとく『マモちゃん』などと呼んでいることは、絶対に秘密だ。
彼もバタバタしていたかもしれないが、私の脳内も相当にバタバタしていた。 通してくれた1LDKの部屋のベッドには先客がいた。 見れば……茶髪の少年? が眠っているようだった。
あれ? 彼は一人っ子だと言っていなかったか。 甥っ子さんとか? むむむ……?
「……あれ、野辺さんには見えてる?」
彼は、私の反応を窺いながらそう言ってきた。 なぬ? ますます訳が分からないのですが……。
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